28話 楽しい時間と不穏な計画

「まさか本当にいるとはね」


約束の日にあの洞窟に行ってみると彼女が待っていた。


「私は絶対に約束は破らないのよ。

我が家の家訓なのよ」


「にしてもどうやって来たんだよ?」


「…それは企業秘密よ」


「少しは君のことを教えてくれないか?」


「淑女は隠し事が多いものよ。

その方が魅力的でしょ。

それに恋する乙女は秘密に憧れるものなの……」


最後の方はボソボソ声で聞き取れなかった。


「そういうもんか、それにしても何しよっか?」


「それじゃあここら辺を探索しましょうよ!

この前は焦っててあんまり見れてないし。

デートしてみたいし、……。


それとあなたのいつもやってることとか見せてよ」


それから僕達は森を探検をしたり、街を探索したり、遊んだりして日々を過ごしていった。



ー魔族side

薄暗い部屋で人間に化けた魔族が水晶をのぞいていた。


そこにはランサーや聖騎士達とブラックベアーの戦いの一部始終が映っていた。


その映像はランサーにブラックベアーがやられたところで終わっていた。


その映像を見終わると魔族は不敵な笑みを浮かべて笑い出した。



まさかあのお方から借りた魔石の目をつけたブラックベアーをあんな子供が倒すとは。


いやはや、末恐ろしいな。 


成長すれば私も倒せるかもしれんな。


これは今のうちに始末しておかなければ、我ら魔族の脅威になるかもしれん。


仕方ない、今度は私自ら出向くとしましょう。


ちょうどあの辺りに例の物があるという情報も手に入りましたし、ついでに始末してきましょう


あの王女も始末しておかなければ、私があのお方に殺させるかもしれん。

急がなければ。


『テレポーテーション』


そうして魔族の男は転移魔法を使い、虚空に消えていった。


ー主人公side

僕達は山の奥のとある館にやって来ていた。


その館には以前から魔物達が住み着いているとの情報を聞きつけて退治しに来ていた。


「どうやら放棄された館のようだね」


「昔ここら辺を根城にしていた盗賊団のアジトだったらしいけどお宝とかは期待できそうになさそうね」


「来たよ。

どうやら魔物の正体はゴブリンだったようだね」


「ちぇ、つまんないの、

どうせならもう少し強いのがよかったな」


僕達は危なげなくゴブリン達を始末していった。


「お、ランサー君。

面白そうな物あったよー」


彼女の方に行ってみると美しい光を放つ剣が壁にたてかけられているのが見える。


「凄そうな剣だな」


「ねぇねぇ振ってみてよ」


彼女に促されるままに僕は剣を取ろうとしたとき、大きな気配が突然現れたことに

気がついた。


「何かヤバい奴が近づいてくる」


「なになにそれって強い奴?」


彼女は楽しそうにしているが、あんなに大きな気配がいきなり現れるのは明らかに異常である。


ここまで接近されないと気がつけない相手となると勝てるかどうか怪しいレベルだ。


「おや、誰か先客がいらしたのですか?」


大きな気配の主が接近してくる。


「おや、君達は…」


姿を現したのは大人の男性で僕達は安堵の表情を浮かべた。


次の瞬間、男は声高らかに笑い始めた。


「くくくっ、なんという幸運か!

まさかターゲット全てが一気に見つかるとは!」



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