27話過去編 姫様side 別れとただいま

ー姫side


あれから彼は聖騎士を送り届けた後、一日かけて私を王都まで送ってくれた。


「ここまでで大丈夫よ家の場所くらい分かるわ」


「そっか、それじゃあね」


「あなたも家に帰りなさいよ」


「もちろん、バイバイ」


彼が私から背を向けて歩き始めたとき私は彼を追いかけていた。


このまま一生会えないんじゃないか、また会いたい!すぐ会いたい‼︎

そんな願いが心の中で強くなっていくのを感じながら彼に追いついて彼の服の袖を引っ張った。


「待って!明後日の朝またあの場所に行くから絶対待っててね」


「えっ、あそこはここからじゃかなりかかるし明後日の朝なんて無理だよ」


「とにかく明後日の朝絶対来てよね!

絶対いくから!!」


「わかったよ。 じゃあ約束ね」


「うん!」


私は自然に笑みをこぼした。


それからは彼と別れて私は王女として王宮の中に入って行く。


私が帰ったことを知ってたちまち王宮は大騒ぎになった。


私は王女専属使用人であるキャサリンから部屋で安静にしているように言われベッドの上で疲れを癒しているといきなり部屋の扉が開け放たれた。


「エリカ!戻ったか!」

「エリカ!大丈夫?」


父上と母上が部屋に飛び込んできた。


「おお、よかった。心配したぞ。

お前の護衛であった騎士達が死体になって教会に運ばれたと聞いた時には肝を冷やしたぞ」


「ご心配をおかけしました。

この通り、無事に戻って参りました」


「怪我はないの?変なことされてないわよね?」


その後に聞いた話だが、どうやら騎士達の亡骸を街の教会に運んだことで王宮側に対しての脅しだと誤解されたらしい。


そのせいで私は誘拐されたのではという噂が流れていたらしい。


「それで一体何があったのだ?」


それから私はこれまでの経緯について、特にランサー君のカッコいいエピソードについてお父様に説明した。


「そうだったのか。

そのランサーという子には褒章をやらんとな」


「それでお父様、私明後日ランサー君に会いに行くからね」


「何を言っておるのだ!この前危険な目にあったばかりではないか‼︎

外出など絶対させんぞ!」


「もう約束しましたから絶対行きます!」


それから少し言い合いが続いたが、お母様からの提案でランサー君とずっと一緒にいることとお昼までには帰ることを条件に外出が許可された。


お母様がランサー君とずっと一緒いることを提案した際、私に微笑んできたので恐らくは私が彼に惹かれていることに気がついているのだろう。


ナイスお母様!


そうして話し合いが終わり、いつもの生活に戻った。


それから二日経ち、私は明朝からとある場所に赴いていた。


「今日はどうされましたかな?姫様」


「叔父様!ご無沙汰しております。

この度はお願いをしに参りましたの。

私を転送魔法でラムズ領に送ってくれないかしら?」


「…承知いたしました。

それでは行きたい場所を思い浮かべてください。

そしてそれを私に伝えるようにイメージしてください」


私はラムズ領の街を思い浮かべる。


「それでは参りますよ」


『ワープスペース』


そうして私はラムズ領に転送された。


「ふぅ、しかし姫様にも困ったものですな」


このときの私は叔父様が学園長であったことを知らなかった。


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