26話珍事件発生?

どうなってんだ、これは。


いつのまにか眠っていた僕の前に服をはだけさせ、僕に抱きついている少女が見えた。


やばい、やばい!


彼女の格好からして同じ貴族であろうことはわかる。


そんな男女が緊急事態とはいえ抱き合って寝ていたとなると事情を知らぬ者達から邪推されてしまうだろう。


心なしかほんのりとフローラルな香水の香りが漂ってきて焦ってしまう。まだ社交界デビューを済ませておらず女性の扱い方について知らないために下手に動くことができない。


なんとか抜け出そうと動いていると彼女がううーんと声を上げる。


気づいたかと思った次の瞬間、彼女は抱き締める力を強めていく。


段々と昨日折れたであろう背骨からキシキシと音が鳴り痛みが響いてくる。


誰か助けてくれーと昨日以上のピンチに陥った僕は心の中で呟いた。


数十分後、ボロボロになって動けなくなった僕を見つめながら彼女は目を覚ます。


「うーんムニャムニャ、えっどうしたんですか⁉︎昨日より顔色悪くなってません!?」


「な、何も、なかった」


そうして昨日のように薬草を取りに行ってもらい、僕が回復して動けるようになるまで二時間ほどかかった。


それからしばらくして僕は昨日からの疑問を彼女にぶつけてみる。


「それにしても君はどうしてあんなめにあったの?」


「そ、それは言えないわ。ごめんなさい、」


「いいよ、それくらいはさ。

それじゃあ君の名前を教えてくれない?」


「わ、私の名前ねぇ、そうね。

私の名前はエミリって言うのよ」


「そうなんだ。

僕はランサーだよ。

よろしくねエミリ」


「ハウ♡。ちょ、ちょっとストーップ。

い、いきなり呼び捨てなんて。

い、いややっぱりそれくらい積極的な方が」


「そ、それもそっか。

じゃあー、うーんエミリちゃんで!」


「ハウ♡!?ま、まぁそれなら……」

「じゃあ私もランサー君ね!

よろしくね♡ランサー君」


「えっうん。それにしてもこれからどうしよっか?」

「とりあえず、君を街に送り届けのは当然として。騎士の人達を遺族の元に返してあげないと」


「えっ?あなたは家に帰らないの?

きっとお父さんやお母さん、家族の人達が心配してるわよ」


「家出してるんだ。

家のことで父さんと揉めちゃってね、それに母さんももう死んでるし、」


彼女はそれを聞くとむすっとした顔になって僕の頬っぺたを引っ張ってきた。


「痛い、痛いって」


「もうそんなこと言っちゃダメだよ!

きっとお父さんも後悔して君の帰りを待ってるだろうし、お母さんも君の帰りを待ってるって」


「だから母さんはもういな…」


「“人は死んでも精霊になって家族のみんなを見守ってくれてるんだよ!”

だから帰りなさい!」


僕はそこで生前の母の姿を思い出し、痛みと悲しみで涙が溢れた。


そうだ帰らないと

どこか僕の中で声が聞こえてきた。


「そう、だね。

ごめん、やっぱり僕も家に帰るよ」


「うん、それがいいよ」

「それはそうとしてまずは騎士の人達を運ぼっか」


そうして僕達は密かに騎士達の亡骸を街の教会に持っていった。


教会なら世界中に広がってるし、遺族の元に届けてくれるだろうと信じて。


だが、僕達は幼いがゆへに知らなかった。


時間が経つと死体が腐って嫌な匂いが発生することを。


その後、街では謎の死体破棄事件としてしばらく騒ぎになった。


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