裏話 サーシャと聖女

私、サーシャはランサー君との試合に負けてしまった。


ランサー君が去った後に会場にいた試験官に許可をもらいしばしの休憩を取る。


休憩室で腰掛けると疲れが押し寄せてくる。


まだ手が強張ったままだ。


私は全身に血が巡っていく感じがわかるくらいまで消耗していた。


ランサー君の剣は豪剣そのもので受けるのも一苦労だった。


そこに私よりも早い剣速で打ち込まれて私は完全に翻弄されていた。


実力を測る立場であるにも関わらず、全力を出してしまった。


それに彼は試験が終わった後も息を切らしておらず、余裕が見て取れた。


私の実力は騎士団内でも二番手三番手くらいのもので、彼はその私に余裕で勝ったのだから少なくとも師団長クラスでないと彼とまともに戦えないだろう。


少なくとも生徒のレベルではないはずだ。


騎士団長なら彼に勝てるだろうか?


日頃から騎士団長と訓練を共にし、何度も戦っているし、団長の実力も熟知している。


だが、彼が相手になると団長が勝てるとは断言できない。


団長以上となると剣聖なら勝てるだろうか?


剣聖は各地を回っているので実力は知らないが、伝え聞く話が本当なら勝気はあるだろう。


確実に勝てるならやはり先代の剣聖だろう。


昔一度だけ団長との試合を見たことがあるが、今なお勝てるイメージが湧いてこない。


あのお方なら彼に勝てるだろう。


あのお方は年齢のせいで剣聖を退いたが、今の剣聖にも勝てる実力を今なお有している。


現代において名実共にあのお方に勝てる者はいないはずだ。


彼ならば将来的になくはないが、あのお方と自分の実力が乖離し過ぎてよくわからない。


そうして一息ついていると部屋の扉が開かれ、聖女様が入って来る。


「なっ、聖女様」


「急に入ってしまってごめんなさいね」

「ところで彼はどうだったかしら」


「ランサー殿はとても強かったですよ。

私では手がつけられないくらいには」


「ふふ、当然ですよ。

彼は神威が使えますからね」


私は目を見開いて驚いてしまう。


神威とは剣で魔法に対抗する唯一の方法である。

才能のある剣の使い手が何年もかけて特訓し、剣を極めて初めて使えるテクニックである。


剣に力を纏わせて魔法を切り裂く。

簡単に聞こえるかもしれないが物に力を纏わせるのは高等技術であり、魔法においても付与術師が貴重とされていることからも分かるだろう。


ただでさえ剣に正しく力を込めるのが難しいのにそれを纏わせるなど世界でも十人くらいしかできない芸当である。


おそらく騎士団でも団長と副団…いやあいつはできないかもな。


だがそれくらいの者しかできない技術を成人したばかりの少年ができるなど聖女様でなければ、何より彼でなければ耳を疑っていただろう。


「そうでしたか、ならば私はどう足掻いても勝てなかったということでしたか。

聖女様もお人が悪い、事前にお伝えしていただければよかったのに」


「ふふ、それではあの時の復讐にならないでしょう」


あの時というのは成人の儀で聖女様が抗議なさった時のことだろう。


「私が間違っておりました。

彼は我が国に必要な人材です」


聖女様はお許しになられた後、微笑みながらその場を後にした。


➖今日、ある小説を読んでいたら新しい小説のイメージが湧いてきました。

題名は「ドMな幼馴染襲っちゃった」

私的にはこの小説が完結した後に書きたいと思っているので楽しみしていてください。


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