第17話いざ、試験へ

数週間後…


「おーい、起きてくださいニャ〜。

起きないんだったら……あーんもうどうしよう。

まずはやっぱりおはようのキスだよね。

その後は二度寝するランサー様と一緒に添い寝して。

そこからあわよくば私の……」


不吉な声が聞こえてきたので僕は跳ね起きる。


「お、おはようミーニャ」


「あーんもう!これからっていう時になんで起きるニャ」


「君は僕を起こしに来たんだよね!」


「何言ってるんだニャ?

起きないご主人様を襲いに来たニャ

ということで襲わせてもらうニャ」


「正直に言えばいいってもんじゃありません」


彼女は猫の獣人らしく猫のように飛びついてくる。

僕が咄嗟に枕を構えるとそこに彼女の顔面突っ込んできた。


「フニャッ」


そのままの勢いで僕はベッドに押し倒される。


「ニャふふふー、逃げられないニャよ」


男としての貞操の危機が迫ってきたが、その時にいきなり部屋の扉が開け放たれる。


「ランサー様から離れなさい!」


「ニャー!もうせっかくいいところだったのにニャ」


「聖女様助かりましたよ。ありがとうございます」


「これから我が家の一員になるんだから、節度をわきまえてください」

聖女様は小声で「それに彼女だけでなく私にも……」と呟く。


「聖女様、何かおっしゃいましたか?」


「い、いえ何でもありません」


彼女はそっぽを向いているが、なぜか頬を赤らめているのが見えた。


「そ、それよりも今日は学園に通うために試験を受けに行くんですから早く準備してください。

あなたもあんまりふざけていると、痛い目を見ますよ」


「そんなまさかぁー、やらないニャよね?」


聖女様は沈黙を貫く。


「ランサー様、お仕置きを」


「承知しました、」


「ニャーやめるニャー」


僕の部屋は朝から大賑わいだった。


そうして支度を整えて僕達は馬車に乗り始める。

これから王都の王立魔剣学園の試験会場に向かう。


「それではお父様、行ってまいりますね」


「あぁ、頑張ってくるんだよ。

ランサー君は合格できるように頑張ってね」


ちなみに聖女様は普通の受験生とは違い、試験は免除されているので今日は学園に通うために必要な物の受け取りと受験生達の視察をしに行くのだ。


多くの使用人や当主様に見送られて僕と聖女様とミーニャ、それと聖女様のお世話係として使用人のメリルさんを連れて馬車に乗って旅立っていく。


短い間ではあったが、公爵家の使用人の方々に優しい人が多かったのもあってそこそこに仲良くなっていた。


ミーニャも始めてきた獣人のメイドということもあり、女性陣から可愛がられたらしい。


聖女様のお母様は実家に帰られているようで会うことはできなかったが、学生の頃は母と仲良くしていたらしく気の優しい人物らしい。


来月あたりには帰られるらしいのでそのときに会うことになっている。


メリルさんは昔から公爵家に仕えていた使用人で聖女様の乳母であり、僕自身も仲良くしてもらっている。


とくにミーニャのことを気に入っているらしく、ミーニャとよく一緒に仕事をしているのを何度か見ていた。


数時間後、何事もなく王都に到着する。


「凄く大きい街ニャね」


ミーニャは始めて王都に来たために大はしゃぎしている。


僕は例の件などでここ何回か訪れていたが、何度来ても王宮の迫力に驚かされる。


聖女様は落ち着いている。

恐らく正教の関係でよく来ているのであろう。


そうして試験会場の前に到着した。



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