第15話修羅場

ミーニャがものすごい形相で詰め寄ってくる。


「俺にもなんのことかさっぱりで、そもそも王立魔剣学園に入学できるのは貴族と校長の推薦を受けている者だけのはずでは?」


「それについてですが、お父様と話し合ってランサー様は養子としてうちに迎え入れることになりました」


一瞬何を言われたかわからなかった。


「せっ聖女様、冗談ですよね?」


「いいえ、本当ですよ」


驚きで言葉が出てこない。


「何を言ってるんだニャ!?ランサー様の養子なんて認めないニャ!」


「もう学園とも話は進んでおりますし、もう養子の手続きも進んでいるので今から拒否させると我が家の面子を潰すことになりますよ。

それはそちらの家もまずいのではないですか?」


聖女様のご実家であり、公爵家であるグレイス家にただの子爵家が喧嘩を売るということは政界では破滅を意味していた。


ミーニャは悔しそうな顔を浮かべた後、俺に抗議するような目を向けてくる。


「聖女様、そのくらいで勘弁してあげてください」


「まぁいいでしょう。しかし、ランサー様には学園に入学してもらいます。これは決定事項です」


あっ、俺の意思は関係なしね。

まぁさっきの話から分かってたけどさ。


「な、ならランサー様!私をメイドとして雇ってくださいニャ」


「えっ、いやそれは無理だよ。僕はもう貴族ではないし、元々君を雇ってたのは両親達だから」


「もちろん無償で行いますので、どうか雇ってくださいニャ」


「いやそんなわけには…」


「だめ!ランサー様にメイドなんて許さない‼︎」


聖女様が取り乱し始める。


「ラ、ランサー様が他のお、女となんて…」


「と、とにかく一度当主様を含めてそのことについて話し合いましょう。

ミーニャ、悪いけどメイド云々の話はまた後日にしてくらないかな」


「わ、わかりましたニャ。今回は引き下がりますニャ。だけどメイドの件考えおいてくださいニャ」


ミーニャも聖女様の迫力に少し言い淀みながらもなんとか食い下がってくれた。


「それじゃあ私は近くの宿に泊まっておりますので会いたくなったらいつでもいらしてくださいニャ」


ミーニャは聖女様と睨み合ってから去っていった。


しかし、まさか聖女様がここまで取り乱すとは何が気に食わなかったのだろうか。


恐らく今聞いても答えてはもらえないだろうと思い、僕達は無言のまま屋敷に戻って行く。


ふと聖女様を見てみると目を伏せて頬と耳が赤くなっているのが見えてきた。


それから当主様に聖女様の発言についてお聞きすると

「あぁ〜言っちゃったか、いやー本当は決定してからサプライズとして教えるつもりだったんだけどね」

「実は昔君のお母さんから君のことについて相談を受けていたんだ」


それから言われたことをようやくすると僕の家での扱いについて不満を持っていた母が当主様に相談していたらしい。


そのときに当主様がもし僕に何かあったら僕を公爵家の養子にして保護する提案をして母がお願いしたらしい。


「そこでミーシャに君を学園に通わせるように頼まれてね」


「そうだったのですか、」


「これはこれから君の父になる者としてのお願いなんだが、どうか娘と一緒に学園に通って守ってあげてくれないかな」


「えっ聖女様を守るとはどういうことですか?」


「実はこの前の襲撃には我が国の貴族の中に賊を手引きした者がいるようでまたあのようなことが学園で起こるかもしれないんだ。

娘はまだ護衛騎士を決めていなくて、日替わりで護衛がついていたんだ。

だが、今回の事件で貴族が多い騎士団の騎士達では信頼できないから彼女の息子であり、事件を一人で解決できる力を持つ君に白羽の矢がたったということだよ」


「……承知致しました。

ですが、その代わりとは言ってはなんですがお願いしたいことがあります」



➖今回の話はちょっと長くなりすぎましたね。

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