第9話トラウマとの対峙

僕は聖女様を助けるために相手ににじり寄る。


「クソが!なんでテメェみてぇのがいるんだよ。せっかく公爵家相手から外れて楽な仕事だと思ったのに」


文句を垂れながらはんべそをかいているが、そんなことは関係なしに近寄って行く。


「くそやろがー!『ファイアボール』」


「ま,魔法」


僕は相手の魔法をみてトラウマが脳裏に蘇る。


それは今までに見たことのない兄の醜悪な表情と周りの嘲笑う声、そして度肝を抜かれるような父の怒りの表情。


僕は昔魔剣祭という大会に出場し、決勝まで進んだ。


そして決勝で兄と戦いが始まると魔法が使うことが出来なくなった。


僕はその当時魔法しか勉強していなくて剣は使えなかった。


そしてそのまま兄に攻撃することが出来ずに敗北を喫した。


そのときの兄に攻撃を叩き込まれる感覚が怖くて魔法を使うことが出来なくなり,魔法に対して恐怖を覚えるようになった。


しまった魔法はほとんどが貴族の人間しか使えないから魔法の使い手が居ないと勝手に思い込んでいた。


僕は立ち止まったまま無防備に魔法を受ける。


高温のボールが飛んできた感覚がして後方に吹っ飛ばされる。


「はは、なんだよ。さっきまでは粋がってたくせにザマァねぇなー」


畳み掛けるように魔法が飛んでくるが、僕は頭を抱えて無様に当たることしかできない。


「お願い もうやめて‼︎ もういいから、もう彼を傷つけるのはやめて」


「へへ、テメェが何もしないなら俺も何もしないさ、だがお前にはついて来てもらうぞ。そいつが何するかわからねぇし、こんなことになったんだ聖女様の慰めくらいもらえなきゃわりに合わねえよなぁ」


クソ!このままでは彼女が連れて行かれてしまう。

なぜだ強くなったんじゃないのか‼︎

なんでまだ動かないんだクソが‼︎


「お願い逃げて…」


聖女様の優しい声が小さく響く。


なんでだ。なんで動けねぇんだよ!


「魔法が使えないなら、剣を使えばいいじゃない」


昔出会った優しいある少女の声が聞こえてくる。


そうだよ。強くなるために剣を握ったんじゃないのかよ!

こういう時に動けるように剣を振ってきたんじゃないのか!


「動け、動けぇー‼︎」


僕は足を叩きながら前に進む。


「さっきまで動けてなかったくせにくんじゃねぇよ! 『ファイアボール』」


魔法が飛んでくるがもう僕には迷いはなかった。


魔法に向かって駆け込むと包丁に力を入れて魔法を叩き切る。


「なっなに⁉︎」

「今のは神威(かむい)⁉︎」


驚いている相手に向かって思いっきり包丁を投げつけると剣を持っている腕に突き刺さる。


「いってぇ!」


そのままの流れで相手の腕から包丁を抜き取り、相手の脳天に突き刺した。


はぁはぁよかった勝てたー。

安堵はおいおいにして聖女様を見ると頬が赤くなっているのがわかる。


「お怪我はございませんか?」


「…えっ、あっはい!」


➖11話と設定を合わせるために少し変更を加えました。

小説書くのやっぱ難しい😓

⭐︎⭐︎⭐︎とコメントが欲しいなぁー。

フォローと♡もよろしくお願いします。

神威(かむい)についての説明はおいおいとあるキャラクターがしてくれます。

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