第39話

「ヤッパなぁ…」



俺達は窓際を離れテーブルを囲むように座りクボが現れるのを待った。

クボはドタドタと足音を立て、部屋に入って来るなりフテくされた態度でコンビニ袋を投げ捨てた。

袋から重そうに缶詰が転がった。


「クボちゃーん…」


早矢仕さんが話しかけようとしたが、クボは俺達を見る事もなく、ゴメンと言って二段ベッドに上がってしまった。

この態度に早矢仕さんがキレた。



「チョット待てよクボちゃんよォ、みんな心配してたんだぜ? その態度はねぇだろうよォ…」



しかしクボは返事もせず、二段ベッドから降りてこようとはしなかった。

俺もこの態度にはムカついた。


「クボさん焼き鳥屋の道、どっち行った?」


「……真っ直ぐ」


「だから、真っ直ぐ行ったあと」


「真っ直ぐ!!」


「真っ直ぐ行ったあと、左だよ? 左に来た?」


「だから、真っ直ぐ行ったんじゃボケ!

そしたらいつの間にか…」


「いつの間にか?」


「谷村だった…」



全員失笑。

やっぱり道を間違えてた。

クボは路地から大通りに突き当たるってのを、行き止まりになる事と勘違いしたそうだ。


焼き鳥屋から大通りを突っ切ったクボはそのまま道なりに進み、右に蛇行しながら都留文大の方へ進んだ。

そしてT文大を見ながら左へ曲がったらしい。



さすがにT文大を通り過ぎれば普通は気づくが、クボはそのまま道なりに進み、ようやく間違いに気づいたのだが、一人で帰る事が出来ず泣きながらタクシーを拾ったそうだ。


俺はクボの「ボケ」発言に頭に来ていたので、思いっ切り嫌味を言ってやった。


「ザマーねぇなクボ。お前はまた明日から二段階だ。一生やってろ!」


そう言うと


「なんじゃワレ、ナメとんかい!」


と凄んで来た。


「テメェな、自分で間違えといてボケはねぇだろ! 挙げ句にフテくされやがって!」


みんな何も言わなかったが、さすがに呆れていた。

そしてこの夜から翌日にかけて、第五、第六、第七の事件を起こす事となる。

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