第21話

ここで102号室のヤツらを紹介しよう。

後々、話しに出てくるヤツらなので…。


この部屋には、同じ日に入寮したヤンキー四人組がいた。

八王子からやってきた、学、ニシ、梅、三沢の四人である。


この四人は俺と同い年の連中で、当初ウチの部屋の人間はこの四人組を毛嫌いしてた。

中でもリーダー格の学は他のメンバーよりも体もでかく、煙たがれていた。


だが、俺が例の教官の物真似を披露してからは仲良くなり、しょっちゅう101号室に入り浸っていた。


ちなみにヤンキー四人組とは言ったが、仲良くなっていくと、その見てくれとは違いヤンキーでも何でもなかった。

どうしても学のイメージが強烈なので、一緒につるむニシや梅もそう見えるのだ。


他にはジュニアとあだ名される男がいた。

ジュニアは四人組よりひとつ年上なので、入寮当初は敬意を表して"兄貴"と呼ばれていた。


だがすぐに彼よりも年上の慶応ボーイのお坊っちゃま、大金持ちの医者の息子、深川さん(仮名)が現れてからは、彼が兄貴と呼ばれ、兄貴は"ジュニア"に格下げになってしまった。



尤もジュニアは兄貴なんて柄じゃなく、ずんぐりむっくりで弱々しく、本物の兄弟でもない限り兄貴と呼ばれる器じゃなかった。



実際ジュニアは四人組に

「兄貴、コーラ買ってきてくれよ」

「兄貴、俺はタバコ」

等とつかいっぱにされていたので、ヤツらもジュニアを兄貴となんて思っちゃいなかった。


また、新しく命名された深川の兄貴は金持ちだからか 殆ど寮で寝泊まりする事はなく、高そうなバイクで寮に乗りつけ、夜になるとバイクですっ飛んで高速で都内の自宅に帰っていた。


通いがダルいから合宿にしたのだがここに寝泊まりする気はないらしく、食事もなかたやでは一度も摂らなかった。



ちなみにジュニアはえなりくんみたいだった。

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