第12話

「おいキブ。テメェはいつ生まれやがったんだ!?」


コイツは弱いクセして口が悪い。

でも俺はこのウスラトンカチとは気が合うのだ。


「うるせーなぁ、12月だよ。そーゆーテメェはいつ生まれやがったんだ!? 」


「俺は三月だよ。フン」


「ハン。この腐れ外道が!」


「何だとこのゴキブリ野郎!」


早矢仕さんが入ってきた。


「おい待てキー、ザキ。喧嘩すんなよ」


俺達は別に喧嘩などしてなかった。

ただじゃれあっていただけなのだ。

しかし他人の目から映るソレは、まるで喧嘩してるかのように危なっかしいらしい。


確かにこの合宿所で初めて逢ったにも関わらず、こうして歯に衣着せぬ物言いで会話していては、ほんとに仲が悪いのか、或いは親友同士で合宿に参加して来たのだと思うのが普通だろう。

それ位俺とザキはソッコー仲良くなった。



次の時間、阿倍野さんと圭ちゃんが二人して放送で呼ばれ、部屋には俺と早矢仕さんとザキ、そしてクボだけとなった。

俺はさっきの二人の話を思い出し、早矢仕さんに言った。



「そんな事より、あの二人のバースディパーチーしませんか? 一人3~400円位ずつ集めて。そうすりゃジュースとお菓子位買えんでしょ?」




「いいね! 俺達退屈だからな。娯楽もないし…。じゃ、阿倍野ちゃんと圭ちゃん以外の四人で金を出し合おう」



結局、言い出しっぺの俺が千円を出す事になり、早矢仕さん、ザキ、クボさんが400円ずつ出して、合計2200円集まった。


これを持って寮から山の方へ向かい、歩いて10分の所に在る、昭和レトロなきったねぇ雑貨屋『はしづめや』に行き、ジュースにクッキー、ポテトチップ等色々買って寮に帰った。


パーチーは夜の自由時間、いつもは学科の勉強に充ててる時間に開催される事となった。





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そしてその日の夜。

みんながお風呂を終えて部屋で一息ついた処で、早矢仕さんが言った。



「ジャンジャジャーン!」





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