第11話
中でもみんなに感謝されたのが、102号室のヤツらと仲良くなれた事だ。
実は101のみんなは、この見るからにタチの悪い四人組を最初から毛嫌いしていた。
他の部屋の人達と比べこの101のみんなはかなり真面目な人の集まりだった。
毎晩学科の勉強をやってるのなんて、この101号室位なもんだ。
仕方がないから俺やザキなんかもみんなと一緒に勉強したが…。
そんな雰囲気の人達だったから102号室の四人組のようなヤンキーとは反りが合うとも思えず、教習所内や寮で合っても一言も話す事なく、部屋に帰ってきてから口々に「アイツらガラ悪いな」などと言い合っていた。
だが俺の物真似がキッカケでその四人組が101号室に遊びに来るようになると、すぐに仲良くなったのが一番ヤツらを嫌っていた早矢仕さんで、話してみるとその四人組も外見と違って気さくなヤツらだった。
それからと言うもの、いつの間にかこの101号室が何故か寮生の溜まり場となり、入れ替わり立ち替わり必ず誰かが遊びに来るようになった。
一方、教習の方について話を移そう。
ここの教官は皆厳しくて中々判子を押してくれなかった。
一段階で平均9回~10回も乗らされ、一週間近く経ってもまだ一段階だった。
合宿は16日しかないと言うのに、これで果たして間に合うのだろうか…とみんな不安に思っていた。
中でも深刻だったのがこの人…。
「アカン! また判子くれんかった。アーッ!」
クボである。
クボはただひとりみんなが二段階に行った時でも一段階を走っていた。
彼は一人ブッチ切りでみんなから遅れを取っていた。
だが、食欲だけは太鼓判を押せる程の勢いで、いつも一人で豪快にカップしるこを食べていた。
「アーッ!」
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そんなこんなで一週間近く経ったある日の事。
放送で名前が呼ばれず待機していた圭ちゃんが
「俺、明日誕生日だぁー」
と言った。
すると阿倍野さんも
「僕は三日後だ」
と言った。
早矢仕さんが
「こんな所で誕生日迎えるなんて寂しいなー」
と笑っていた。
しかしながら僅か二日違いの誕生日だなんて奇遇だなと思った。
すると俺の横にいたザキがこう言ってきた。
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