第7話

翌日から俺達寮生は、毎日二時間の実地、六時間の講習と言う地獄のような日々を送った。(大袈裟)


ここ、T自動車教習所のモットーは


【厳しさこそが優しさです】


※パンフにそう書いてあったw


それだけに、どの教官も厳しかった。


「何やってるずら!」


「そうじゃねぇずら!」


「何度言っても解かんねぇなオメェは、アホずらか!?」


そりゃこんだけ言われたら凹むずら!


俺の担当になった教官は三人。

前野先生、小野沢先生、千村先生だ。(いずれも仮名)


まず一人目、前野先生は五十代の優しいお父ちゃんと言った雰囲気で、俺はこの先生が教官の中で一番好きだった。


次に小野沢先生、この人は理論派で、見た目は如何にも好好爺と言った雰囲気が漂っていたが、失敗などすると語気は強めないが結構辛辣な言葉を浴びせた。


そして最後…、一番イヤなヤツ、大御所千村。千村はネチネチひとの失敗をいつまでもこねくり回す嫌味なヤツだった。

しかもさりげなくミラー越しにひとの表情をうかがう。


顔は藤山一郎って歌手に似てると誰かが言ってたが、歌丸さんを怖くしたような顔をしてると思った。


俺の担当はこの三人だったが、他にも個性的な教官が多数いた。


まずは、若い方の千村。

教官の中には同じ名字の方が何人かいたので俺達は、若い方の◯◯、年寄りの方の◯◯と呼び分けていた。


で、この若い方の千村先生。何故かいつも長靴を履いている。

そして助手席で一言も発しない。

ただ最初に「Aコース走れ」と言ったきり何も言わない。

ふと横を見ると、大概居眠りをしていた。


次に、無糖先生。

実はこの人は本来、お坊さんなんだそうな。

だからお寺が忙しくなると教習所に来ないんだと、地元の生徒が言っていた。

どっちが本業かは分からないが…。


その他、初日の遅刻で説教されたメガネをかけたインテリ鶴川、血の気の荒い熱血漢、岩原先生、クールな二枚目、猫田先生の若手三人衆。


ジェームス三木ソックリの田辺先生、そして、教官達のトップに君臨する、二谷英明みたいな岩倉先生などが睨みを利かせていた。

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