第6話

ここで寮生の一日の流れを説明しよう。


まず最初の一週間は、7時起床。これは寮内に放送が流れるので強制的に起きなければならない。


そこから7時15分までの間に布団をたたみ、洗顔、歯磨き、トイレ等を済ませて寮から歩いて3分の所に在るなかたや食堂に朝食を食べに行く。


そう。ここの合宿所には食堂がないのだ!

他所の教習所の合宿所の食堂はビュッフェスタイルの所もあると言うのに…。


ちなみに寮生は教習所から与えられた、段ボールの切れ端で作った粗末な食券を提示するだけで、食事が自動的にやってくる。

しかしメニューは既に決まっており、アレが食べたいコレが食べたい等とは言えない。 (メニューのレパートリーも少なく三日に一回はカレーが出た)


どうしても他のメニューが食べたい時は一般客同様、別料金を払わなければならず、更に食事の量は少なく、ご飯のおかわりすら出来ないのであった。


別料金と言っても、寮生の大半はカツカツの状態でここにやって来ており、みんな手持ちの金なんて殆どが一万円以下だ。

いや、五千円未満の人間が殆どかも知れない。


また、 買い食いしようにも教習所は山の中で、最寄りのコンビニには歩いて30分もかかる。

必然的に誰も買い食いはしないし、退寮の時はみんな5~6キロは体重が落ちていた。

俺も8キロ落ちていた。



朝食が済むと一旦寮で待機。 構内放送で呼ばれた者だけが車に乗り、呼ばれなかった者は学科の講習を受ける。

寮生はしばらくの間、一日二時間の実地と六時間の講習を受けた。


昼食は12時15分から40分までの25分間。

これを過ぎるといくら食券を提示しても食事は出来ない。

夕食は5時20分から45分までの同じく25分間だけ。


こうして7時30分まで実地、学科は続く。

消灯は10時。


それまでの僅かな時間で入浴したり、或いはテレビを観たり、学科の勉強などを済ませ、眠りにつかなくてはならない。


本当に遊びに来たのではないと言う、殺人的スケジュールだ。



始めのうちはみんな寝つけずペチャコラ喋っていたが、日に日にみんな慣れて来たのと一日の疲れでさっさと眠ってしまった。



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