第5話
「俺、石井圭です。18才で、T大付属S高校の野球部に所属してましたっ!」
早矢仕さんの次に自己紹介を始めたのは、中井貴一のような髪型をした石井圭君だった。
圭君は寮生なのだが、住まいは何とT市の隣のU市。
そこにも教習所はあるはずなのだが、早く免許が欲しかったのか、彼は合宿免許に参加してきた。
圭君の高校は強豪で、彼の先輩はドラフト一位で巨人に指名されたそうな。
ちょっと真面目過ぎて面白味に欠けるが野球が大好き。
俺も野球が好きだったので、よく高校野球の話で盛り上がった。
「えっと…、俺は山崎義秀…」
ザキ。ボサボサに伸びたパンチパーマが印象的なヤンキー崩れだ。
奇しくもザキは、俺と同じ区の出身で同い年。
更に奇遇な事にザキは、俺が初めてバイトした会社で同僚だった、滝内と言うヤツと友達なのだと言う。
こんな所まで来て、妙な偶然だなと思った。
俺達はそこから意気投合し、教習所にいる間、行動をともにする事となる。
「僕、阿倍野美楠です。今、T大学の二年生なんだけど、二浪しちゃって、22才なんだ。この部屋じゃ最長老だね」
アベノミクスさんはメガネをかけた如何にもガリ勉タイプ。
お洒落にも無頓着でいつも寝癖頭だった。
ヘアムースもつけた事がなく、早矢仕さんに初めてムースをつけてもらった時も、その泡に泡食っていた。
阿倍野さんはとても無口でおとなしかったが浜田省吾のファンだそうで、当時俺も浜省を聴いていたのでよく音楽の話などをした。
そして最後に…。
「クボマサアキです。ヨロシク! 阿倍野ちゃん! ワシもT大学やで!?」
クボは、兵庫県出身。
高校卒業後、一家で千葉の市川に引っ越して来たんだとか…。
アフォなのに何で大学に行ってるのかと思ったら、高校がT大の付属高校だったため、エスカレーターで大学に進んだと言っていた。
クボの事は、今は多くは語らない。
何故なら、今後この文章はコイツ久保正明一色になるのだから…。
こうして俺達六人は、奇妙な共同生活をスタートさせた。
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