第4話
俺は頭を下げながら
「あの、自分この部屋に入るよう言われまして…」
と、中に入っていった。
部屋は扉を開けると右側にすぐ二段ベッドがあり、窓側まで三台並んでた。
左側すぐにはロッカーがあり、更に小さなテーブルが置かれていた。
部屋にいた人達は全部で四人。
パッと見、驚く程の年の差の人はいないようだった。
俺が頭を下げると、その中の一人がこう言ってきた。
「さっき怒られてたね?」
俺は頭に手をやりながら
「はぁ、あの、待ち合わせ時間を間違えちゃいまして…」
と言うと
「知ってる。新宿駅で言ってたから。一人来てないって」
そう。なんとこの人も今朝の新宿駅の待ち合わせのメンバーだったのだ。
それを聞いて俺は更に申し訳なくなり、再度頭を下げた。
だがその人はにこやかにこう言った。
「気にする事ないよ。俺、早矢仕健二。今年で二十歳。ヨロシク!」
「あ、自分、木風呂沸人って言います。もちろん仮名ですけど…。宜しくお願いします」
「そうだ! せっかく一緒の部屋になったんだからさ、みんなで自己紹介しようよ」
早矢仕さんがそう提案した。
聞けば、何と全員今日からの入寮だと言う。
なのでまだお互いがお互いの事を全く知らないでいたのだ。
俺はそれを聞いて少し安心した。
既に部屋にいる人達の輪の中に入っていくのは、転校生みたいな気分がして嫌だなと思っていたから…。
でも、みんなが初対面なら一緒の感覚で過ごしていけるなと思った。
中でもこの早矢仕さんて人には本当に助けられた。
一号室のムードメーカーで、早矢仕さんの周りはいつも笑いが絶えなかった。
建築関係の専門学校に通っている、明るく、お洒落で、ハウンドドッグをこよなく愛する板橋区在住だ。
ウチから板橋区は然程離れてないので、俺は親近感を持った。
この人とは帰京してからも何度か会ったりして、俺のいい兄貴分だった。
こうして、一人々々自己紹介をしていく事となった。
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