第3話 お昼休み
キーンコーンカーンコーン。
午前中の従業が終わり、お昼休みになる。
「凛桜~食堂行こ!!」
やけにテンションが高い。
「そうだね。お弁当持った?」
「うん!そういえば食堂ってどこだっけ」
たしかに・・・。
入学してから場所の説明を受けたとき以来行っていない。
「星海先輩に連絡とってみたら?」
陽菜はムッとして私のスマホを指さす。
「凛桜が八衣先輩に連絡取ればいいじゃん。一回も連絡とってないんでしょ?チャンスじゃん」
そういわれればそうなんだけど、なんて連絡すればいいのかわからない。
先輩とのトーク画面を開いたまま固まっているとメッセージが表示された。
『凛桜ちゃんお疲れ様。律夏から凛桜ちゃんと長谷川さんが食堂に来るって聞いたんだけどもう着いた?』
これなんて返すべきなんだろう。
「陽菜~ってあれ?いない・・・」
ピロン。
『あたしお手洗い行ってから律夏先輩に迎えに来てもらうから凛桜は八衣先輩と先に行ってて!』
「噓でしょ・・・」
とりあえず先輩に返事しなきゃ・・・。
『お疲れ様です。実は食堂に行ったことなくて迷子にまちゃって・・・』
そう送るとすぐに既読がついた。
『そうだったんだね。どこにいるか教えてくれたら迎えに行くよ』
先輩優しい。
『中庭みたいな、自販機のあるところにいます』
『ちょっと待ってて』
しばらくすると先輩が走ってくるのが見えた。
「遅くなってごめんね。大丈夫だった?」
心配そうに声をかけてくれる。
「わざわざすみません。大丈夫です」
ならよかったと言って食堂まで案内してくれた。
食堂はたくさんの生徒で賑わっていた。
「広いですね!それに生徒もこんなにたくさん」
先輩の方を向くと笑っていた。
「どうして笑ってるんですか?」
先輩はハッとしたように顔を隠した。
「席、取ってあるから行こう。はぐれるとだめだから制服の袖つかんでて」
男の人の制服の袖をつかむ・・・。
「えっと、失礼します・・・」
そっと掴むと先輩は歩き出した。
席に座りお弁当を広げる。
「凛桜ちゃんってお弁当なんだ・・・。自分で作ってるの?」
「はい。朝少し早起きして作ってます。先輩はお弁当じゃないんですか?」
私の言葉に先輩は目をそらした。
「一年生の途中までは作ってたんだけどね。途中から作るの面倒になっちゃって作らなくなったんだ」
料理ができないわけじゃないと慌てて付け足す先輩。
普段の先輩からは想像できない慌てっぷりがかわいくて笑ってしまった。
「先輩の意外な一面が見られて嬉しいです」
恥ずかしそうに笑う。
「あっちでお昼ご飯買ってくるね。先に食べてて大丈夫だからね」
そう言って先輩は列に並びに行った。
先に食べてていいと言われても困る。
しばらく待っていると先輩が帰ってきた。
「遅くなってごめんね。思ったより混んでて」
私の手をつけていまいお弁当を見て驚いている。
「先に食べてていいって言ったのに」
「先輩と一緒に食べたかったんです」
先輩は嬉しそうに笑った。
「先輩は何を頼んだんですか?」
「きつねうどんだよ」
うどん好きなのかな。
私のお弁当を見て卵焼きを指さす。
「きれいだね。美味しそう」
陽菜以外の人にお弁当を褒められるのは初めてだ。
すごくうれしい。
もし迷惑じゃないなら先輩のお弁当、作りたいな・・・。
「あの、明日から先輩のお弁当作ってきてもいいですか?」
少し驚いた顔をしてから優しく笑って答えてくれた。
「すごくうれしいけど凛桜ちゃんの負担にならない?」
慌てて首を振る。
「負担になんかならないです。私が作りたいので」
「じゃあ授業終わったら今日会った自販機の所に集合して食堂で食べよっか」
食堂もいいけど私は外で食べたいな・・・。
そうだ。
「食堂じゃなくて外で食べませんか?この間桜がすごく綺麗な場所を見つけたんです」
「そんな場所あったんだ。じゃあ明日はそこで食べよ」
キーンコーンカーンコーン。
「あ、予鈴なっちゃったね。教室まで送っていくよ」
「一人で帰れるので大丈夫ですよ」
「そう?じゃあまた連絡するね」
先輩とは食堂で分かれた。
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