第2話 再会
キーンコーンカーンコーン・・・。
「放課後、委員会があるやつはさぼるなよ~。話は以上!解散解散~」
今日は放課後に委員会のある日。
私は図書委員会に入った。
陽菜は体育委員会に入ったらしい。
理由を聞くと楽しそうだからと返ってきた。
陽菜らしいというか、なんというか。
「り~お!委員会行こ!体育委員、図書室の近くみたいだし」
陽菜の言葉に私は頷く。
「もし私の方が先に終わったら迎えに行くから」
陽菜は可愛らしい笑顔で頷いてくれた。
「じゃあ、あたしこっちだからまた後でね!」
陽菜に手を振り私は図書室に向かう。
図書室の前に見覚えのある人が立っている。
「八衣先輩?」
「うわぁ⁈って篠ノ井さん!お疲れ様」
驚いている先輩可愛いな・・・って先輩相手に、しかも男の人相手に何考えてるんだろ・・・。
「せ、先輩もお疲れ様です。図書室の前に立ってどうしたんですか?」
先輩は少し恥ずかしそうに自分の髪を触りながら答えてくれた。
「実は、その、篠ノ井さんを待ってたんだ」
先輩も言葉にキョトンとしてしまった。
「どうして私を・・・?」
先輩をじっと見つめているとさらに恥ずかしそうに顔を赤くさせる。
「あのあと律夏に、もしかしたら図書室に入るの緊張してここに立ってたんじゃないかって言われて。もしそうなら、僕と一緒だったら緊張せずに晴れるかなって思ったんだ。迷惑だったかな・・・?」
先輩の気遣いに驚きが隠せなかった。
今日話したばかりの後輩に対してどうしてそこまで優しくしてくれるんだろう。
「お気遣いありがとうございます。たしかに、お昼休みにここに立っていたのは、先ほど先輩が仰っていた通りです」
そう伝えると、はにかんだように笑った。
「たしかに緊張するよね。じゃあ、あっしょにドア、開けようか」
先輩は手を差し出してくれた。
私は頷き、先輩と一緒にドアに手をかける。
図書室に入ってからは、先輩から委員会に仕事について色々なことを教えてもらった。
「ざっとこんな感じだけどわからないこととかあった?」
少し気になっていたことがあるんだけど、聞いていいことなのかな・・・。
「委員会の仕事のことではないんですけど質問いいですか?」
もちろんと言って頷いてくれた。
「ほかに図書委員の人っていないんですか?」
少し困った顔をしてしまった。
「いないことはないよ。来ないってだけなんだ」
それって・・・。
「さぼり、ってことですか?」
「まあそうなるのかな。でも篠ノ井さんが気にすることじゃないから大丈夫だよ」
それはそうだけれど納得いかない。
「・・・」
八衣先輩はこの話は終わりと言ってカウンターに置かれた本を片付け始めた。
「丁度いいから残りの時間に少しだけ作業しよっか」
「わかりました。この本はどうするんですか?」
「裏にバーコードがあるからそれをこの機械に通して返却処理をするんだ。凛桜ちゃ、じゃなかった。篠ノ井さんもやってみて」
今、名前呼ばれた⁈
「ごめん。名前、呼ばれるの嫌、だったよね?」
慌てて首を横に振る。
「そんなことないです!あの、春也先輩って呼んでもいいですか・・・?」
そう聞くと先輩は顔を真っ赤にしながら答えてくれた。
「だめじゃ、ない、です」
すごくドキドキしてる・・・。
先輩に私の胸の音聞こえてないかな・・・。
無言の時間が流れる。
「あのさ」
ガラガラッ。
先輩が何か言いかけたのと同時に図書室の扉が開く。
入ってきたのは星海先輩だ。
「律夏、どうしたんだよ」
「そろそろ終わるかなって思って迎えに来たんだよ。陽菜ちゃんと一緒に」
星海先輩の後ろから陽菜が顔を出し、私の元に走ってくる。
「陽菜はなんで星海先輩と?」
「実はね~律夏先輩と委員会同じだったの!それでね、先輩も図書室行くって言ったから一緒に来たんだ~」
なるほど。
それにしてもすごい偶然だ。
「いや~、陽菜ちゃんほんとにノリ良くて最高だわ」
律夏先輩はそう言いながら陽菜の頭を撫でる。
陽菜は少し恥ずかしそうに笑っている。
四人で話しているうちに下校時間を知らせるチャイムが鳴った。
「とりあえず帰るか~」
星海先輩の言葉に頷きみんなで図書室を後にした。
そういえば先輩、あの時何言おうとしてたのかな。
先輩を見ていると陽菜が肩を叩いてきた。
「凛桜、もしかして八衣先輩のこと⁈」
私が春也先輩のことを好きだなんて絶対ない・・・はず。
「ま、まさか。そんなわけないじゃん。そういう陽菜こそ星海先輩のこと好きなんじゃないの?」
そういうと陽菜は顔を真っ赤にした。
「そそそそんなわけ!っていうか、八衣先輩と連絡先交換したの?」
痛いところをついてくる。
目をそらすと陽菜はニヤニヤした。
「交換できてないんだ~。あたしはもう交換したからね!あ、そうだ!八衣先輩~!凛桜が話したい事があるみたいです!」
「え⁈ちょっと陽菜⁈」
陽菜を見ると親指を立てて星海先輩のところへ行ってしまった。
そして春也先輩がこっちに来る
「えっと、どうかした?」
「図書室で何か言おうとしてたから気になって・・・」
先輩は、あ~と言ってスマホを出した。
「もしよかったらなんだけど連絡先交換しませんか?」
慌ててスマホを出しLINEのQRを出す。
「ありがとうございます。私も先輩と連絡先交換したかったので嬉しいです」
先輩は嬉しそうに笑っていた。
そして、この日をきっかけに四人でいることが多くなった。
連絡先を交換してから一週間がたった。
陽菜はほぼ毎日のように星海先輩連絡をとっているらしい。
私はというと・・・。
「えー⁈あれから連絡を一度も取ってない⁈」
自分から連絡を取る勇気がなく、何も送れていない。
「あと一か月で文化祭だよ?八衣先輩と文化祭周りたくないの?」
周りたいに決まっている。
お昼ご飯すら誘えていないのにいきばり文化祭に誘うのは気が引けてしまう。
「先輩たち、いつも食堂で食べてるみたいだよ。今日行ってみようよ」
高校に入ってから食堂は使ったことがない。
「陽菜が行くなら行ってもいいよ」
じゃあ決まりねと言って自分の席に戻って行った。
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