第3話
「ゆうとー!久しぶりだなぁ!どうだ?ちゃんと飯は食えてるか?」
優人を弟子にして既に二年弱、
正直未だにコイツを弟子にしたのが正解だったのかわからねぇが…
多分俺が師匠じゃなきゃ、コイツは既に死んでるなって思わされる事が多いせいで日々悶々と考えさせられてしまう。
まだ子供にも関わらず痛々しい姿をさらす優人に、時々自分のさせている事が心に突き刺さって嫌気がさす…
だけど、俺にはこれしか与えてやれる武器が無かった
俺の武器…ちょっとした退魔術と【心結界】そして切り札の【呪具術】
…優人の武器は師匠の俺とはある意味反対で呪具武装を全身に着け、体にも呪い(まじない)をかけメインウェポンとして使っている
それを俺の教えた【心結界】でなんとか使いこなし生きている状態だ…
退魔術も教えたには教えたんだが…俺以上に適性がなかった…
逆に結界術に関してはコイツの父親や、俺がまだ若い頃にいた天才と言われていたが亡くなってしまった、もう一人の兄貴以上の才能を感じる…っていうか、ここまで結界術の才能が無かったら既に刻まれた呪いで死んでるんだろうけどな…
優人には妖魔ギルドの仕事を教えてやり、一人暮らしもさせている
世間的には一緒に住むほうが子供には良いのかも知れないが⋯
俺と一緒に住んだら…今でも死にそうな目にあっているコイツに安息の地すら無くなっちまう…
クソが…なんでこんなことになってんだか分からねぇが、優人が一人で仕事をこなして学校に行ってるぶんには妨害や嫌がらせなんかはあっても本気で始末しにくることは無いっぽいからこうしてるが胸糞悪いな…
「なぁ、兄貴ちゃんと話し聞いてるか?そろそろ新しい呪具紹介してくんねぇ?」
コイツまだ増やす気か?
「自分で買ってこいよ…」
「いや、オレだってそこそこ良いもんあったら買いたいぜ?でもそんな強力な呪具とか売ってねぇし、マトモな呪具とか消費型は金も足んねえし、それに…また妖魔増えてきてんだよねぇ…」
「はぁ…とりあえず限界を攻めるのはやめろよ?そんだけの呪い(まじない)身に付けて呑み込まれたら洒落になってねぇからな?」
「そんなん自分が一番分かってるって…そんな顔すんなよ…
それにちゃんと兄貴の御守りはちゃんと持ってるからよ…」
お前こそそんな顔すんなよ…マジで
ガキにそんな辛そうな顔されたら何も言えねえじゃねぇか、それにしても⋯あれが御守りねぇ…?
どっちかって言うと最終手段だけどな…はぁ…
「御守りって…はぁー、今度の土日どっちかなら空けれるからその時な」
「ぉー!兄貴感謝ー!久しぶりの共闘だな!楽しみになってきたぁー」
「嬉しそうだな…多分今回は行くだけなら危険はないけどな」
「おん?封印かなんかされてるん?」
「んー、行けばわかるんだが…どっちかって言うと封印されてるんじゃなくて、解放してるんだわ」
「余計わからん」
「まぁ、いつも通り準備だけしとけよ。っていうかお前他に趣味無いんか?」
「ぁー、漫画は好きで読んでるけどそれ以外特に⋯金かかるしなぁ⋯」
「⋯なんかやりたい事あったら言えよ?ちょっとぐらいはなんとかしてやれるかも知れないしな⋯」
「ありがとな!でも今はコレだけで十分!っていうか、最近ラブコメにハマってんだけど、純愛物とハーレム物どっちが最高かなかなか決められなくてさ!いやぁ、どっちも魅力的で困っちまうぜ!」
「はぁ⋯なんだか楽しそうで良かったんだか悪かったんだか複雑な気持ちになったんだが⋯
あー、ちなみに今回も分かってるとは思うが協会とギルドは経由してないから誰にも漏らすなよ」
「おー、分かってるって!兄貴にはいつも世話になってるし、生き方も教えてもらったし、いつもマジで感謝してる…(⋯も教えてもらったしな…)」
最後何か言ったか?はぁ…
ホント何が正解なんだろうな?
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