第24話 謎めいた旅人
不思議な旅人のログさん。私とラトリが彼に出会ったのは偶然だった。
私のせいで誘ってもらったパーティにその日の内に追い出された。ラトリは一緒にパーティを抜けてくれたけど、二人では
次の日、私達はどこか別のパーティに入れないか冒険者
「い、いえ。ログさんはすでに
受付の男性がそう話しているのは私たちと年も変わらなそうな、ここら辺ではあまり見ない灰色の髪の青年。
「ラ、ラトリ、今の話聞いた?」
「ん、聞こえた」
「まだ一人みたいだし、ちょっと話しかけてみない?怖そうな雰囲気もないし」
「ルーに任せる」
よし。情けないけどこのままじゃ私達は冒険者として独り立ち出来ない。頑張って話しかけるんだ。
掲示板の前で依頼を吟味している灰色髪の人に思い切って話かけた。
「あの」
「...」
あれ?聞こえなかったのかな?
「あのー..」
「...」
無視されてる?こうなったらもう少し大きい声で、
「あの!!」
「うおぁ!?」
・・・こうして私達は灰色髪の青年、ログさんと知り合った。
最初の冒険ではログさんにサポートしてもらいながら幻影を倒せるようになった。
私とラトリはその日の夜、ログさんに出会えた幸運を語り合った。
..そして、次の日から状況が一変したんだ。
まず、よくわからないブレスレットをいきなり渡され、意識を失いそうになったり。聞いたこともない
正直、あの時の私とラトリはログさんのことを不審がってた。何か変なことをされるんじゃないか、とか。
でも、そんな不審感なんて抱いている余裕はすぐに無くなった。この
出現する
体力の限界がきたらセーフティエリアで休憩という名の拷問が始まる。ブレスレットによって掻き乱される神力の流れを何とか抑えようと必死に抗う私とラトリ。
「二人とも心を鎮めて。心に向き合いながら神力の流れも鎮めるんだ」
もう何言ってるかさっぱりわからない。こんな状況で心を鎮められるか!
「凪!凪るんだ!」
うるさいよ!ログさんが凪るべきだと思う。そんな余計な声援を受けながら私とラトリは神力のコントロールに悪戦苦闘し、その後も
「今日はここまでかな。二人ともお疲れ様!」
パァッと無邪気な笑顔で私達に話しかけるログさん。ちょっとだけ可愛いと思ってしまった。
「僕は別で用事があるからここで。明日の朝は
「わかったよ。じゃあまた明日ね、ログさん」
「また明日」
こうして初日の鍛錬が終了した。大量のドロップアイテムをログさんから譲ってもらい、稼ぎも相当だよ。そんな帰り道、
「ラトリ、明日からの事、どう思う?」
「ん、私は続ける。強くなりたい」
「そうだよね。私もここで辞めたらちょっと悔しい。頑張ろうね!」
「うん」
ラトリと話して、気持ちを再確認出来た。明日からまた頑張ろう。
..そう言えばログさん、変な事なんてしてこなかったな。私達の思い過ごしだったみたい。疑ってしまって悪い事しちゃったな..明日、お詫びにお菓子でも持っていってあげよう。
***
次の日、街道から少し外れた森の中にある迷宮の入口に着くと見覚えのない建物?が入口の横に建っていた。丸太を使った建物で森の自然と見事に調和しているが迷宮の入口の横に建っているために異様な組み合わせになっている。
「え?何この建物。昨日はなかったよね?」
「ん。どうせログが犯人」
だよねぇ。ちょっと怖いけど呼びかけてみよう。
「ロ、ログさーん!おはよう?」
呼びかけてみるとすぐ建物の扉が開き、ログさんが顔を出した。
「お!おはよう!ちゃんと来てくれたんだね。少し心配してたんだ」
ログさんは少し苦笑いを浮かべならそう話してくる。
「昨日はごめんなさい。ログさんを疑うような態度をとってしまって」
「ごめんなさい」
「いいよいいよ。そう思われても仕方がないって僕も理解してるし。すぐ行くからちょっと待ってて」
ログさんはすぐ私達の謝罪を受け入れてくれた。
すぐにログさんは建物から出てくると扉の横あたりを触り始めた。何してるんだろう?と思っていると、シュン!とさっきまで目の前に建っていた建物が手の平サイズにまで小さくなってしまった。
「ええ!?どうなってるの?それ」
「!?」
「ああ、これは『インスタントコテージver1』というアイテムでね。携帯できる家なんだ。便利でしょ?」
ドヤ顔でそう語るログさん。そんなすごいアイテム聞いたことない!!便利のレベルを超えてるよ。この人は本当に何者なんだろう。
「興味あるなら帰りにでも寄ってきなよ。お茶でも出すよ」
「あ、昨日のお詫びにお菓子持ってきたの。その時にでも」
「お?嬉しいな、わざわざありがとう」
ログさんが喜んでくれてよかった。
「さて、じゃあ今日も鍛錬と行きますか!」
う、、ログさんが切り替えて元気よく私達に呼びかけてくる。この人、鍛錬好きすぎだと思うんだ。
もちろん、私達のためを考えてくれてるわけだから頑張るけど。先導するログさんの後を私とラトリはついていった。
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