第15話 迷宮試験
薄暗い古ぼけた通路を慎重に進んでいく。壁面に設置された松明の青白い火が道を照らし、静かな空間に僕の足音だけが響いている。
まっすぐ伸びる通路を少し進むと広めの広場に出た。広場に足を踏み入れた瞬間、中央付近の地面から異形の者が姿を現す。人骨の姿で動く化け物、『
古ぼけた片手剣を持ち、鈍足な動きで襲いかかってくる。
僕は片手に持つ鉄の剣を構え、
ガラ空きの背中へお返しの振り下ろしを叩き込んだ。
ガシャンと骨が砕ける音と共にその場に倒れ伏す
僕はその様子をじっと観察する。動かなくなった
また
完璧である!ここは遺跡型の試作
フィアー様とウィンデス様との出会いから数日が経ち、僕はいま試験のために試作した
『
『テステス、あーあー、ウォーラ様、ラヴィエ様、聞こえますか?』
『おう、よく聞こえてるぜ、ログ』
『あぁ!ログちゃんの声が直接頭の中に..』
僕は最近テチノロギス様に開発してもらった
ちなみにラヴィエ様は稀に言動が危うくなることに最近気づいた。基本はスルー推奨だ。
『
『完璧じゃねーか!よし、テチノロギスにも伝えとくぜ』
同時接続は2名まで。それ以上はどんなに試しても頭が割れそうになるくらい痛くなる。脳力の限界なんだろうと結論付けている。
今は
アイテム、元は財宝と言っていたものは
『では、このまま試験を続けますね』
『おう。よろしくな』
『ログちゃん、頑張ってね』
僕は広場から通じる先の通路へ進行を再開した。
***
あれから何度かの
僕はボス部屋の扉の前に立っていた。重々しい雰囲気の扉が僕の前にせり立っている。
「いいねいいねぇ。雰囲気出てるよ。これぞボス部屋って感じだね」
さて、ボス部屋に突入しようじゃないか。
扉を開けるとそこは広場になっていた。もちろん広場の中央にはこの
骸骨剣士は僕の姿を捉えると立ち上がり、剣を
「って、
レアボス。通常のボスを魔改造して能力を底上げした
まさか自分が悪ノリの最初の犠牲者になるとは。
足を払われて宙に浮いた
ガキ!!っと鉄と鉄がぶつかり、火花が散る。ギリギリのところで剣を差し込んで受け止められたがそのままの勢いで地面に
倒れた姿勢のまま、僕の足を狙って剣を横なぎに振るってくる
手数の差で押し切れない。剣で倒したかったけど今の僕ではまだ無理だな。悔しいけど終わりにさせてもらおう。僕は掌を
(【
構えた掌の前に僕を飲み込むほどの火の塊が出現し、それをそのまま
凄まじい速度で飛来した業火球に回避が間に合わず着弾する
爆炎が収まると青白い光が僕の身体に入ってくる。
「『
『
早速僕は本を取り上げ、中を確認するために本を開く。【双剣術】の本って書いてあるね。
文字を読み上げた瞬間に青白い光が本から発生し、身体の中に吸収される。本はただの白紙となり、そのまま光の粒子に変化して消えていった。
「…うーん。双剣術を覚えたんだよね?嬉しいはずなのになんか足りない?」
何かが引っかかるんだけど何だろう?..考えてもわからないのでとりあえずレアボスを倒した時に出現した扉の先に進むことにした。
ボス部屋に新たに出現した扉を開けて進むとまた小さい部屋にたどり着く。
ここは『
まあよくあるパターンだね。
この
視界がはっきりしてくるとそこはクレディオス様が用意してくれた
ここには製作したすべての
「ただいま戻りましたー」
「おう、戻ったか。試験はバッチリだったな」
テチノロギス様達が僕のほうへ集まってきて試験成功を告げてくる。
「そうですね!いきなりレアボスでびっくりしましたけど逆にちゃんと機能してるってことですし」
「ログよぉ。お前剣で倒せよ、剣で」
「くっ!気にしてるのに!」
ウォーラ様が的確に僕が少し悔しい思いをしている部分を指摘してくる。
「もっと筋力鍛えないとダメだな。今日から覚悟しとけよ」
「それはむしろウェルカムです」
厳しい鍛錬はむしろ好物です。すごい楽しみ。
「あ、ヤードス様、壁とかの石材の雰囲気がいい感じでしたよ!」
「…」
茶色い短髪の強面筋肉マン、土の神ヤードス様は無言でサムズアップしている。
ヤードス様は数日前に神殿にやってきて、それからはずっとテチノロギス様と
「ログちゃん、何か気になることはあった?」
「それなんですけどなんか引っかかってるんですよね。レアボスを倒して【双剣術】を覚えたあたりからなんですけど」
そう。今も何かが足りないような気がしてるんだよなー。でも何なのかわからない。考え込んでいると管理室の入口の方から声がする。
「
声に反応して入口の方をみやるとクロニア様が様子見にきてくれたようだ。そこで僕に天啓が降りてくる。
「これだ!」
「え?」
僕の突然の発言にキョトンとするクロニア様。僕はやっと謎の引っかかりの原因に気づいたのだった。
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