第7話 神力の使い方

「クレディオス様、ウォーラ様。状態表ステータスの表示内容なんですけど、こことここ、おかしくないです?」


 僕は二人に状態表ステータスを見えるように表示する。


ーーーーーーーーーーーー

ログ

種族:人族

階位:十

身体能力:

STR:E VIT:E AGI:E INT:B

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「階位とINTの表示なんですけど..」


「ん?おかしくはないんじゃないかな?何と言ってもこの創造神であるボクが直接力を授けたんだよ?」


 犯人はあなたかよ。階位が人族の限界に到達してるじゃないか..親和性以外が底辺なのもあって、ただただ神力だけ持ってる神力バカ状態だよ、これ。


「そ、そうだったんですね。ありがとうございます」


「うんうん。大いにありがたがってくれたまえ」


 まあ、これは素直に感謝ですよ。成長の話をする前に試してもらったことだし。考案者である僕はノーカンということにしよう。


「今日はそろそろお終いにしない?ちょっと疲れてきたわ」


「そうだね。続きは明日また行おうじゃないか。ログ君もいいかい?」

 

 あ、だいぶ時間が経っていたのね。ウォーラ様の100人組手もあったし、楽しすぎてあっという間に時間が経っていたみたいだ。


「そうですね。そうしましょう」


「ログ、明日はどんなこと考えんだ?」


 ウォーラ様が明日やることが気になるようで質問をしてきた。


「明日は神力を使った術のようなものを考えようと思ってるんです」


「術ねぇ。わかった。ひとまず私も必要だろうから明日も参加するぜ」


 多分、組手の続きをしたいんだろうな。すげー楽しそうだったからね。


「ログ、休む部屋に案内するからついてきて」


「はい!ありがとうございます」


 クロニア様にそう言われ、本日は解散となった。



***



 次の日。昨日は美味い食事、最高のお風呂と最高のベッドでゆっくり体を休めることが出来た。

 異世界に転生してから間違いなく一番リラックス出来たと思う。


 さて、今日はいよいよファンタジー定番の魔法、いや魔法は奴らが使う力だからそれに変わる新しい力を作ってもらう。といっても魔法と同じ法則、体系で作ってもらうつもりだけど。


 今日は部屋を変えてテニスコートくらいの広さの訓練場のような部屋に案内されている。というか神様って訓練するんですかね?


「ここは私の部屋だ!ここなら存分に色々試せるだろ!?」


 ウォーラ様、あなたの部屋でしたか。まじで何もないんですが、ベッドとか色々必要なものがあると思うんだけど。一体どうしてるのか。


「今日も楽しみだね!さぁ、今日はどんなことをするんだい?」


 クレディオス様は今日もテンション高めだ。すでにテーブルと椅子のセットを取り出し、椅子に腰を下ろしている。黒板セットもすでに設置済みだ。

 ちなみに今日はクロニア様は不参加らしい。ちょっと別の用事があるようだ。


「今日は昨日、クレディオス様達にもお話した魔神や悪魔が使う力、魔法と同等のものを考えていきたいと思います。神力を使って色々な現象を具現化する術のようなものですね」


「ログよー。ちょっといいか?」


「どうしました?ウォーラ様」


 ウォーラ様が少し懐疑的な表情でそう話しかけてきた。どうしたのだろうか。


「その魔法?ってやつは必要なのか?」


「はい、僕は必要だと思ってますよ」


「そうか?神力だけで私は十分だと思ってるぞ?」


「でも神力って身体能力が上がるだけですよね?それだとみんな格闘家になっちゃいますよ。もっとこう、そう彩り!術による多彩な表現で個性溢れる世界にしないと!」


 僕は格闘オンリーのファンタジー世界にしたいんじゃないだよ。


「いやいや、神力でもこういうこと出来るんだぞ?ボス、ちょっとあそこに的だしてくれ」


「いいよ。はい」


 ウォーラ様がそうクレディオス様にお願いすると指パッチンで10m先くらいに的が出現した。もう何でも出てくるな。あの指パッチン。


「いいか?見てろよログ」


 ウォーラ様はそういって右手の掌を的に向けて構えると掌の前に青白い神力の塊が発生する。次第に大きくなる神力の塊。こ、これはまさかね..

 野球ボール大くらいの大きさになった神力の塊は、ウォーラ様の掌から猛烈なスピードで的に向かって飛んでいく。的に命中した瞬間、ドン!という轟音と共に圧縮された神力がその場で爆ぜた。


「うわぁ..」


 神力の残滓が晴れるとそこには的はなく、粉々に砕け散った的だったものが散らばっていた。

 ..もうさ、これ、物理的衝撃を発生させられるくらい神力を圧縮させて、それを一気に爆ぜさせただけじゃないか。何この力技。


「どうよ!?これが神力弾だ!」


「いやいやいや。あなたそれどんだけ神力注ぎ込んでんだよ!」


「ククククク」


 神力弾だ!じゃねえよ。思わず素の口調で突っ込んでしまった。超美人さんだから笑顔が非常に魅力的だけどさ。クレディオス様、笑い我慢し切れてないからね。


「おお!人族にこう思いっきり言い切られるとなんか気持ちいいじゃねーか!」


「そうなんだよね!ウォーラはわかってるね!」


「..」


 変神どもが!クロニア様がいない弊害がこんなところで。クロニア様、来てくんないかな。


「んん!ウォーラ様、ちなみにそれどれくらいの神力があればその威力になるんです?」


「お?そりゃお前、私と同じくらい神力ないとこの威力にはならないな」


「まさかの神基準だよ。ダメでしょ!それじゃ人族には無理じゃないですか」


「ああ、言われてみれば確かにそうだな!わっはっは!」


「ククククク」


 1階位の神力弾なんてどんな威力になってしまうのか。弾状にならない可能性すらあるわ。いや、ならないねきっと。クレディオス様は完全に傍観者になって楽しんでるし。


「じゃあログの考える術とやらを使って私に一泡吹かせてみろ。そしたら有用性を認めてやるぜ」


「ウォーラ様、それ楽しみたいだけでしょ!」


「その通りだ!私は楽しみたい!!」


 この脳筋女神が!!ガッツポーズで力説することじゃない!動くたびに見事なお胸様が揺れて目線を奪われてしまうのは秘密だ。なんかやる気出てきた。やってやろうじゃないか。


「クレディオス様!僕はやりますよ!早速ですが、火、風、水、土の現象を司る神々を紹介してください!」


「お?流石によく知っているね。いいよ。紹介しようじゃないか」


「盛り上がってきたぜ!じゃあ私は昨日の続きをやってるから頑張ってくれ。ここは自由に使っていいからな」


 僕は属性を司る神々に会うべく、クレディオス様を頼ることにした。術を考えるならやっぱり属性を取り入れないと。

 ウォーラ様はこちらの準備が終わるまでまた組手を行ってくれるみたいだ。


「じゃあ、ログ君、みんなと話してみるからちょっと待っててね」


 クレディオス様はそういうと、静かに黙り込んでしまった。なんかテレパシーみたいなやつで話しかけてるんだろう。

 クレディオス様はなんか何でもありな神と思えば何も不思議に思わなくなってきたよ。


 さあ、今度の神々はどんな方々なんですかねぇ。期待と不安が入り混じった複雑な心境で僕はクレディオス様からの返事を待つのであった。




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TIPS:階位毎の神力保有量の目安


十二階位・・一階位の2048倍 神々のみの階位

十一階位・・一階位の1024倍  超越者

十階位・・・一階位の512倍  人族の限界

九階位・・・一階位の256倍

八階位・・・一階位の128倍

七階位・・・一階位の64倍

六階位・・・一階位の32倍

五階位・・・一階位の16倍

四階位・・・一階位の8倍

三階位・・・一階位の4倍

二階位・・・一階位の2倍

一階位・・・基礎値


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