第3話 創造神
お風呂、最高でした。神様の湯場でしっかりと身体中の垢を落とし、湯に浸かってリフレッシュ。お湯はなんか落ち着くいい匂いがしてリラクゼーション効果もバッチリだった。
さっきまで死にそうな目に遭っていた筈なんだけど。
「お待たせしました!」
「綺麗になったわ。そんな髪の色だったのね」
クロニア様は僕の灰色の髪色を見て、そう感想を述べてくれる。確かに水浴びをしなさ過ぎて、髪の色も汚れでわからなくなっていたのかもしれない。
服装も湯場に置いてあった古代ローマの人々が着ていたような白一色のトーガを着てもいいとのことだったのでボロの服を脱ぎ捨て、着替えも済ませている。
「じゃあ、着いてきて」
そう言うとクロニア様は再び僕を先導して歩き始めた。
***
しばらくクロニア様の後をついて行くと、建物のどの位置にあるのかはわからないが、テニスコートくらいの広さで中央に祭壇のようなものがある部屋に案内された。
この部屋は特に神聖な雰囲気が強い気がする。
「クレディオス様?連れてきたわよ」
「??」
クロニア様は誰もいない部屋の中で誰かに話しかけている。誰もいないよな?
「待っていたよ!」
「うお!!?」
急に上から声が聞こえ、突然の事に僕は声を上げてしまった。
「あ、ごめんね?びっくりさせてしまったかな?」
上を見上げると、短髪の黒髪に黒目の男の子が宙に浮きながらこちらを見ていた。この子がもう一人の神様?
「こんにちは?」
何を言っていいかわからず、とっさにへんな挨拶をしてしまった。
「こんにちは。初めまして、ログ君。ボクはクレディオスって言うんだ。よろしくね!」
見た目8才くらいの男の子は爽やかな笑顔で僕の挨拶に返事をくれると、そのまま自己紹介をしてくれた。っていま僕の名前言った?まだ名前を教えてないんだけど。
「なんで僕の名前を?」
「ん?聞きたいかい!?」
..すっげー気になるけどなんかこの得意げな顔が少しモヤっとするな。
「..結構です」
「おお!?」
おお?なんか断ったら予想外に笑顔全開なんですが。クロニア様も無表情で掴めないけどこの神様も掴めない。
「クロニア!聞いたかい?ボクはいま、断られたよね!?いままでこんなことがあっただろうか!いや、ない!素晴らしいよ。人族がボクに
..やべー神だよ。主張って。断られたのにすげー喜んでる。両手を上げてクロニア様に問いかけたと思えば自己完結してガッツポーズを決めながら歓喜している。
ボクが顔を若干引き攣らせて引いているとクロニア様が会話に入ってくれる。
「クレディオス様、話が進まないわ。私は早くログの話が聞きたいの」
「おお、そうだったね。じゃあこの時代ではない所からやってきたログ君。話を聞かせてくれるかい?」
煽りはまだ継続中らしい。そうクレディオス様は言いながら指をパチン!と鳴らす。するとテーブルセットが何もない所から突然現れた。
クッソ気になる!わざとでしょこの神。一度断った手前、意地でも聞けない。よし。座って一回落ち着こう。僕は何も気にしていない自然な素振りで椅子に腰を下ろした。
「新鮮..新鮮だよ!その当たり前のような反応」
「ふ。僕も慣れてますので」
嘘です。すげー我慢してます。なんとかゲームやラノベで慣らしたファンタジー耐性を発揮し、平然と答えることに成功した。
あ、流石にクロニア様が怒ってる。無表情だけど額に青筋立ってる。様付けして呼んでるからクロニア様より上位?の神様っぽいけど。
「んん!お、おふざけはこの辺にして、話を聞こうかな?ログ君は未来からやってきたんだよね?未来の話を聞かせてほしいな」
「はい。僕がいた未来では..」
気持ちを切り替えて僕は未来に魔神と悪魔が現れ、神様達は滅ぼされてしまうこと。人は魔人族と人族に分かれ、人族は奴隷として扱われていることなどをまずは簡単に説明した。クレディオス様とクロニア様は心痛な表情をしながら話を聞いてくれている。
「未来のボク達は随分と不甲斐ないことになってしまったみたいだね。人族達を残してそんなことに」
「そうね..魔神と悪魔。クレディオス様は知ってる?クレディオス様とあの子がやられてしまったということは高位の神だと思うけれど」
「いや、ボクも初めて聞く神だ。神なんてそれこそ星の数ほどいるからね。創造神であるボクがやられた時点で『
なんかすごい会話だ。そして僕は聞き逃さなかったぞ。クレディオス様が創造神?『
「あの、クレディオス様。『
「ん?『
クレディオス様は説明を続ける。
「『
とんでもないものだった!なるほど。『
でも古文書では、クレディオス様がやられてしまったあとも残された神様達は戦いを続けてたはずなんだよな?
「僕の知る歴史ではクレディオス様がやられてしまった後も残された神々は魔神と戦い続けています。存在自体を無かったことに出来るのになぜそれをしなかったんでしょう?」
「それはね。ボクの生み出したクロニア達にはそれぞれに任せたい事象や法則を司ってもらってるんだ」
なるほど。僕はクレディオス様の説明に聞き入る。
「つまり、『
だから魔神は残されら神々を一人残らず滅ぼしたのか。合点がいったよ。
「ちなみに今の人族は魔神や悪魔が使う魔法のような何か特別な力を持っていたりするんですか?」
「いや、特に持っていないよ。この世界はあまり生き物同士の生存競争が激しくない世界だからね。今の状況で十分にバランスが取れてる。ただ、クロニア達がそれぞれお気に入りの子達に『加護』という形で自分たちが司る力の一部を貸し与えたりみたいなことはしてるよね?」
クレディオス様はクロニア様を見ながらそう問いかける。『加護』かぁ。どうしようもなくワクワクしちゃうワードだね。
「そうね。私は与えてないけどね」
「ふふ。君、引き篭もりだもんね」
「…心臓の時を止めて差し上げましょうか?」
「ひっ!」
..こ、怖い。一瞬で周りの空気が凍りついたような感じになってるんですけど。なんでこの創造神様は無遠慮に地雷らしき事案を踏み抜いたのか。無自覚なのかな?クロニア様に睨まれてビビってるじゃないか。
..まあいいや。整理すると今の人族も加護を与えられている人以外は特別な力は持っていないわけだ。
この先襲来する魔神と悪魔に対して、どう準備すれば未来を変えられるのか。『
「クレディオス様、クロニア様。僕はあの人族にとって辛すぎる未来を変えたい。なのでその方法を考えました」
僕は閃いたアイディアを2人の神様に語ることにした。
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