俺も初体験だぞ!【浪平光恵編】

バルを出て、俺は光恵と肩を並べて歩いていた。


「しかし、まだ私のようなおじさんと話したいことなんかあるのかい?」

「だって部長、すごく男らしいし、潔いし、今回の件で見直したんです」


へっ、どうせ見直されるようなキャラだよ亜久山って奴は。


「でも僕はこんなおじさんだよ。君のお父さんくらいの年だろう?」

「でも私、お父さんいなかったんで男の人のこと、よくわからないんです」


お、これはエロゲ本編でもよく言ってた台詞だな。


「じゃあ僕で男を知ってみるかい?」


これはエロゲの主人公の台詞だ。うーん、自分で言ってて何だかキモイな。


「……私で良ければ」


いいんだ!?

光恵ちゃん、冷静になろうよ!?

こんなハゲおじさんでいいのかい!?


いいんだよな!

どうせここエロゲの世界だもん!!

エロいことする女しかいないんだもん!!


俺は知ってるんだ!!

光恵はどこがいいとかダメとかそういうのはみーんな覚えてるんだからな!!


俺は光恵の肩を抱いて、その辺のホテルに入った。


「部長……」

「浪平君、いや、今は光恵でいいかい?」

「はい、部長……」

「だから君も、雅俊と呼んでくれ」

「はい、雅俊さん」


なんだこの展開!?


マジか、マジなのか!?

エロゲでしか女の子触ったことないよ!?

というか、本物の女の子触ったことないよ!?


光恵ちゃんってヒロインの清楚系ってだけあって、黒髪ロングで目はキラキラしてて、それでいて肌が真っ白でふわふわでマシュマロみたいでもちもちしてるのにしっとりすべすべ滑らかなんだなぁ!!!!


あ、部長既婚者だって設定だったな!!

これで俺が中身童貞ってバレたらどうしよ!?

いや、ゲームと同じようにすればいいんだよな!?


俺は必死にゲームの内容を思い出した。


そうだ、こうだ。

こうで、こうだ。

うんうん、そうだった。

そうそう、そうだ!!


全然何やってんだかわからない……。


わからないまま、俺は終わった。


「部長、いえ雅俊さん……」

「なんだい、光恵」


俺は何となく事後は煙草を吸うイメージだったのだけど、俺は煙草は嗜まない。亜久山本人はどうだったんだろう。


「また、一緒に会ってくれますか?」

「何故だい?」

「私、雅俊さんのこと好きになっちゃったみたいなんです……」


ほうほう。


「それで、そのことなんですけど……主人公君には話さないでもらえますか?」

「もちろん、話さないでおこう」


誰が話すもんか。

光恵は俺のもんじゃ、ザコ主人公め。

ヒロイン寝とったり!!!


こうして俺が光恵とワンナイトからお付き合いに発展してる頃、おそらく主人公は爆乳先輩といい感じになってるのだろう。うらやま、いやけしからん。

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