清楚系同期を救うぞ!【浪平光恵編】
さてさて、
俺を甘く見るな。『爆オフ』は何度シナリオコンプしたかわからないくらいやりこんでるんだぞ。この攻略対象……いや、ヒロインの堕ちるポイントは本人以上にわかってるつもりだ。
とりあえずこのビッチは同期の童貞主人公と一発ヤってるんだよな。そこを踏まえて攻略せねば、いや、部下のケアをしなければ。
こいつを揺さぶりたいけど、同期社員と上司部下の関係で近づくのはなかなか難しい……。
よし、主人公がS山食品との案件でヘマをして2人で謝りに行くところでシナリオをねじ曲げるぞ。
「浪平君、部下の失態は私の失態だ。私が一緒に先方に頭を下げに行こう」
「は、はい……部長直々に、ですか?」
不自然だったかな?
でも部下の尻拭いなんて上司の仕事だろう?
主人公には別の仕事を命じて、俺は浪平光恵とS山食品へ出向いた。
なんの謝罪かわからん謝罪をして、俺は光恵ちゃんと会社に帰ることになった。
「部長、私のミスですみません」
「いやいや、私の謝罪で済むことなら何度でも謝るさ」
ふふふ、ゲームの亜久山ならこんなこと絶対言わないだろうな。光恵ちゃんはどことなくビビってるぞ。
「それよりどうだ、気を取り直してどこかで1杯やっていくか」
「え、でも私……」
そこで俺は彼女の行きつけのバルへ行くことを提案した。
「え!部長もそのお店知ってるんですか?」
「何なら私もよく行くからな」
「へえ、意外ですね」
「あそこのサングリアは絶品だからな」
「わ!私あそこのサングリア大好きなんです!」
へへへ、コイツの攻略はサングリア一択なんだよ。これで一気に俺に傾いたな。
その後俺は、光恵と例のバルで軽く食事をすることになった。
「あのー、部長最近変わりましたね」
「別に自分は変わったつもりはないけどな」
「そんなことないです、なんというか、物腰が柔らかくなったというか、前よりもすごく感じがよくなりました」
そうだろう、俺も頑張ってそうしてるんだよ。
「今までちょっと肩肘を張りすぎていた気がするからな。これからは前向きに皆と仲良くして行こうとしているよ」
「でも、最近離婚なさりましたよね」
ぐさっ!
光恵ちゃんはそういうところ目ざといなぁ……。
「何でそう思ったんだ?」
「指輪が最近なくなったので」
「ああ……そうだな」
そうだ、コイツの攻略にはひとつ欠かせない要素があったな。
「やっぱり離婚って、お辛くないですか?」
「そうだな、永年連れ添った妻と別々の道を歩くことは寂しくないと言えば、嘘になるかな」
実際は連れ添ってなど来ていないから俺は実感ないけどな。
「そうなんですね……」
光恵はふう、とため息を着く。
ふふふ、光恵のメンタルが少し揺らいでいるぞ。
俺はここぞとばかりに追い打ちをかけることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます