「はなさないで」なんて言葉?

神無月ナナメ@カクヨム住人(非公式)

KAC20245

 お題のまま耳にするシチュエーションなんて人生で起こるはずがないと先刻まで思っていた。

そのまま漢字に置換すると「話す」と「離す」そんな二種類の成り行きで本質と結果は異なる。


 なにか伝えようとして頭で咀嚼してから口語に修正すると相手は物事の本質をつかみやすい。

こちらの居場所を連絡する際に道しるべを伝えてから数値や方向で説明するだけで理解できる。


 例えばの話だけど女の子にとって心の距離はそのまま安心感だから伴うと身体まで近くなる。



「だがしかし……ミナミのグリ下に集まる子どもたちまで食い物にするような反社会的勢力だ。

地下に潜ったヤクザからパシリ扱いされるような半グレの餌食にされなくてホントよかったね」


 世間一般にイメージする典型的なオタクとしてシーズンごとの推しは増減したりするものだ。

運命の女性なんて考えたことがない自分だからハーレム主人公になれるようなタイプじゃない。


 お嬢さまイメージと真逆タイプでバイク乗りみたいな古の不良(死語)を好きになるギャル。

昭和の暴走族を題材にしたホットロードが平成でバンドマンやダンサーに変化しても同類項だ。



 オレなんて強さの欠片もないガリガリの体ひょろひょろノッポだからモテる要素なんてない。


 白馬に乗ったイケメン王子さまじゃないしハーレクイン小説のスパダリなんてありえません。

たまたま通りがかりに腕のずっしりと重いラノベや実務セットが役に立った悪運だけは強い男。



 背後からの不意打ちでヤンキー二人が身動きできないよう抑えただけでトドメは女の子たち。

ピンク髪に染めたハイパワーお嬢さまと白黒ウサ耳で美少女フィギュアみたいな巨乳娘なんだ。


 どこかのセカイ系ラノベみたいな美少女を侍らせる主人公は病気で片脚を切断した社長さん。

なんの因果だろうか高校時代一年ちょっと同じクラスで机を並べた陸上部のホープは彼だった。



 オマケみたいに悪漢から助けた三人組がヒロイン属性モリモリのお嬢さまJKで笑えません。

もちろんブギーポップは関係ないし国内スチール担当の元商社マンに特技と呼べるワザもない。


 こんなオレだけど三十歳の誕生日すぎて構わないから魔法使いにしてくださいませカミサマ。



 このまま流されるみたいに主人公のケージくんとミナミのオッパブに連行されそうなんです。

三十路でおバカすぎるオレたちこのままじゃ喜んでいいのか哀しむべきかもわかっていません。



「……いかないで。いっちゃいやだよ……悪いのはわたしなんだけどいつまでもはなさないで」

 高級感のない座り心地よいソファでつぶやきをこぼすギャルは寝相の悪さで下着が見えそう。


 うなされるような彼女の過去をしらないが家族関係でなにかあると感じるような印象もない。

「なんのことか誰のことかもわからないんだけど……オレの方から消えることなんてしないよ」


 なにかできるオレにやれることがあるなんて断言する気はないが傍にいたくないこともない。

誰かに対する恋愛感情なんて抱いたこともないし好きとか離したくないとか感じた経験はない。


 それでもダンジョンが生まれ世界の理ごと変化したミライはみんなが幸せになれたらと想う。

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