第34話:大団円
その後、連絡を受けた
一夜明け、ようやく事情聴取から解放された
「瑛人様、申し訳ございません。私が考え足らずで、家に上げてしまったばかりに……」
頭を下げる六花に、瑛人が手を振る。
「いや、おまえが家に上げずとも、何か手を考えて襲撃しただろう。気にすることはない」
「そうですわ! どんなに怖かったでしょうね。もう大丈夫ですからね」
鞠子に抱きしめられ、六花は母を思い出した。
母も昔、六花が泣いているとこんな風に優しく抱きしめてくれた。
「ああ、坊ちゃま、睨まないでください。これは坊ちゃまの役目でしたわね」
「睨んでない!」
瑛人がむうっと口をとがらせ、そっぽを向く。
鞠子の前では、瑛人は成人した軍人ではなく、やんちゃな少年の顔を見せる。
そんな瑛人がたまらなく愛おしく、六花はいつまでも飽きることなく見つめた。
「六花様、傷の具合はいかがですか?」
食後のお茶をもってきた祥吾が、いたわるように尋ねてくる。
「ひどい目に遭われましたね。私が家にいれば、こんなことには……申し訳ございません」
沈痛な
「そんな……! 祥吾さんのせいではありません!」
パーティー前日で頼りになる祥吾が公爵家で最後の打ち合わせをしていたのも不運だった。
「そうだ、全部あいつらが悪い」
紅茶のカップを口にし、瑛人が苦々しい表情になる。
「
春美は皇都で新生活を始め、亮介は紅茶の仕事に
ふたりとも
「さて、いよいよ婚約パーティーだな、六花」
「はい……!」
「私が皇都一のご令嬢に仕上げますわ。腕が鳴ります」
張り切って力こぶを作ってみせる鞠子に、皆がどっと笑った。
*
大変な一夜を経て、婚約パーティーが盛大に行われた。
六花は
昨晩の出来事があったからか、不思議と肝が
命がけの戦いに比べれば、初見の人たちと話すくらいなんでもないと余裕をもって対応できる。
六花の堂々とした令嬢っぷりに、集まった人たちからは次期公爵夫人にふさわしいと賞賛が集まった。
祝福されながら婚約届に二人で署名をし、正式に婚約が決まった。
「六花、改めてよろしくな」
「私こそ、よろしくお願いいたします」
六花と瑛人は微笑み合い、無事に婚約パーティーは閉会となった。
――後日、亮介と春美の処遇について知らせがあった。
亮介は一番隊隊長の自宅を襲撃し、婚約者を脅迫、無許可で妖魔を捕獲、売買しようとした疑いで投獄されることとなった。
最悪、処刑もあり得る重罪で、
春美は
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