第5話 或る畜生乙女の独白 ②

 なんとか約束の彼に会うことができた。

 しかし、残念なことだけど、

 彼にはあまり、好感を抱いてもらえなかったかもしれない。

 色々と手違いがあったようだが、最大の原因はあたし自身の態度だろう。

 思い返し、反省してみる。

 彼へのアプローチ、間違っていなかっただろうか。

 男の子への接し方で、あたしが思いつくのは、極端に分けて二通り。

 ボディータッチを繰り返して誘惑し、一足飛びに深い仲になる。

 もしくは。

 軽口を叩き合い、会話を楽しみながら、少しずつ距離を縮める。

 彼にはどっちがいいのだろう。

 思春期男子の心の機微、というものがあたしにはいまいち分からない。

 でも、それほど心配することもないか。そう思い直す。

 だって、彼はあの女神に願ったのだから。

 人間の男子と、非リアルの女子との間を取り持つという、縁結びの神。

 あの神は女の似姿をしていても、男のリビドーの代弁者だ。

 しかもそれはリアルの女ではなく、非リアルの女子へのリビドー。

 そんな神に彼は願ったのだ。

 大丈夫、……大丈夫だ。

 押せ押せで行けば、絶対にうまくいく。


 それにしても、変な邪魔が入った。

 あの女、いきなり出てきて。一体なんなんだ?

 腹立だしい。

 どういうつもりだか知らないけれど、

 これ以上彼にちょっかいかけるようなら、容赦はしない。

 妙なことになる前に……殺してやる。

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