第6話 自分はどこまで考えているのか

◆◆自分でどこまで考えているのか◆◆


私の前に、先生に耳打ちした女性が座る。とても笑顔だ。

「で。どう?」と聞かれたので、正直に答えた。ここで縁が切れたって、構う事はない。


「資産をドルで持つことについては、何の疑問もありません。しかし、銀行に関しては、決めかねている部分があります。」


女性は、笑顔を崩さず言った。

「良いのよ。選ぶか、選ばないかは自分次第。私たちは、知らないことは可哀そうだと思って、知識を教えてるだけ。選ばないならそれまでよ。ざんねんねぇ~。」


煽りが入ったぞ。と更に引いてしまう。その発言を受けて、こちらも攻撃的になってしまう。


「私は、考えているんです。もし、私がカモだったらって。皆さんがサクラで、私一人が新規なのではないかと思っています。あなたが、この銀行に資産を預けようと決めたのは、どうしてですか?」


すると女性は言った。

「私は、もう、確信をもったから。ここなら大丈夫だって。もう銀行が出来て3年になるけど、毎年ちゃんとお金が増えてるの。私たちは、カモだったかもしれない。けどね、何を信じるかで、カモが白鳥にもなれるのよ!」


ドン引きしてしまった。


お金の話をしているのに、入信している話になっている。その確信をもった理由を聞いているのに。お話にならないと思った。そしてまた周りを見る。

「先生~~」とグラスを交わし談笑している信者たち。


これは、やべぇやつや!!と私のアンテナが警鐘をならしている。

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