第24話 報告
FCわかばの練習に参加するためバス停『
ある物を忘れずに持って。
自宅マンションのエレベータをおりて、すぐそこのバス停『
見るとすでにゴロウがバス停に立ってる。
「ゴロウ、はい、これ。べんしょうするのおくれてごめんね」
ナナはゴロウに、ネットの中に入れた真新しいサッカーボール一個を手わたす。
「おお、ナナ、ありがとう。もう、ボール返ってこないんじゃないかと思ったよ」
「いくら何でもそれはないでしょ」
ナナはほっぺたをふくらませて、ぷすっとする。
ゴロウはただ、笑ってるだけ。
「ん、このボール、ワールドカップ仕様のボールデザインじゃないのか」
「そう、だからこれでかんべんしてよね」
たしかに、他人のサッカーボールを使って事故をさけたのはどうかなって、ナナでも思う。
でも、あのときはきんきゅうの出来事だったからしかたないでしょ。
「ところでナナ、カルディ府中アリーナのセレクションどうだった」
ゴロウがナナにたずねる。
「ダメ。かすりもしなかったの」
ナナはカルディ府中アリーナの黒鉄サキさんと出会って、バッサリ言われたことを伝えた。
また、会場のフットサルコートが今までのコートとまったくちがってすごかったこと。
そして、これまでに体験したことのなかったフットサル戦術もゴロウに話したんだよね。
「そうなんだ、そりゃ大変なセレクションだったな」
「そうなの」
ナナもあらためてショックだったと感じたんだ。いい意味でも、悪い意味でも。
「ゴロウのほうはどうだったの」
こんどはナナがゴロウにたずねる。
「オレも、おっさんSCアカデミーかすりもしなかったよ」
ゴロウにはちょっと悪いけど、予想どおりの返事が帰ってきた。
「だけど、おどろいたのは高杉が、おっさんSCの一次セレクション合格しちゃったことかな」
ゴロウが真顔になってしゃべる。
「えっ、そうなの」
と、おどろく私、ナナ。
「マジで。あいつ試合でいきなりシュート打ったんだ」
「それで?」
「そしたら、GKの手前でボールがとつぜんバウンドして、そのままゴールに入っちゃったんだよ」
「すごいじゃん、高杉君」
「ありゃ、どう考えてもまぐれ。アイツが意識してシュート打ったら、いつもホームランだもんな」
ゴロウがあきれた顔で話し続ける。
「今日の練習のあとに、高杉がナナになんていうか見物だよ」
そうこうしているうちに、スクールバスがバス停『
私たち、ナナとゴロウは、おたがい
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