第20話 足うら

 「では、二人でこうごにパスこうかんします」

 ヘッドコーチから、二人一組でゴールラインに対して平行に立つように指示される。

 ナナと相方あいかたのスクール生は、十数メートルほどはなれて指示されたように立った。


 「始めてください」

 ナナは相方あいかたにインサイドキックでボールをける。

 ボールは相方あいかたの手前のほうに行く。


 すると、相方あいかたはかかとを軸にして少し前方に足うらを見せながらボールをトラップ。

 そのまま足うらでボールを前方に押しながらインサイドキックでボールをけり返してきた。


 「……これがフットサルなのね」


 思わずナナは、ぼそっと言ってしまったの。

 それくらい衝撃的しょうげきてきだったんだよね、この足うらのトラップが。


 パスが返ってきたので、ナナもまねしてみようと思う。

 かかとを軸に、右足うらを少し前方に出しながらボールをトラップ。

 そのまま足うらでボールを前に押し出しながら、右足インサイドキックでボールをパスした。

 いいね、なんとかできたよ。このパスこうかんのやりとりを数回行う。


 「では、今からすることをプレーしてみてください」


 ヘッドコーチは二人のスクール生を呼んで、なにか指示を出したみたい。

 すると、二人は十数メートルほどはなれて、パスこうかんをはじめた。


 ただ、ナナが知ってる今までのパスこうかんとは少しちがうの。


 パスが来ると足うらでトラップ、ここまではいっしょ。

 次にボールを右ななめ前方に置いて、右足うらでなめるようにボールを転がしながらドリブル。


 そのあいだに相方あいかたはバックステップしながらうしろに下がる。

 ドリブルしていた選手が相方あいかたにパス。

 バックステップしていた相方あいかたは、やって来たボールを足うらでトラップ。

 すぐに足うらでボールを軽く押し出し、そのまま足うらでドリブルしながら前方に進みふたたびパス。

 これをくり返す。

 全体から見ると、パスこうかんをしている二人がまるでアコーディオンのような動きをくり返してる感じかな。

 ここがポイントなんだよね。


 「はい、では始めてください」


 ヘッドコーチの指示で、ナナは元の位置にもどると、ボールを相方あいかたにパス。

 そのまま、うしろにバックステップする。

 このバックステップが意外とむずかしい。気をつけないとコケちゃいそう。


 相方あいかたからパスが来た。

 右足うらでトラップ。そのまま、少し右ななめ前でボールをドリブル。もちろん右足うらでなめるように。

 そして右足インサイドキックでパス。……ギリギリOKって感じかな。

 これも数回プレーする。


 「はい、ここでいったんきゅうけいをとります」

 そのあとゲーム形式という話みたい。ナナ、けっこうつかれちゃった。




 


 




 

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