第9話 ナナの出番
雨の降りかたがだんだんあやしくなってきた第二試合。
ナナのいるCチームと、Dチームとの試合がはじまった。
Cチームのほうは3-3-1、Dチームは2-4-1のフォーメーションみたい。きんちょうしてよくわかんない。
なぜってCチームのキックオフとどうじに、三人並んでるDFのまんなかにいるナナへ、いきなりボールをパスしてきたから。
いきなりだよ、いきなり。ナナ、ちょっとびっくりしちゃった。
パスをうけたナナは右MFにパスしようと右へゆっくりドリブル。でもこれはおとりのプレー。
味方のワントップのFWだけは
雨つぶが大きくなりだんだんはげしく降ってきた。
足元がすべりやすくなってる。
でもそんな弱音は
相手DチームのMFのポジションがずれて、味方FWへのパスコースが空く。
すかさずナナは、ちょっと角度をつけてFWにくさびのたてパスを入れた。
インステップ気味の右足でスピードのあるパスを。
一直線にビシッと決めた。
ボールの直線の
ボールをうけたFWはターンすると、そのままドリブルしてシュートを放つ。だが、敵GKにはばまれた。
Cチームのコーナーキック。
相手DF陣はゴール前をマンマークの守りでナナたちについてきた。
ナナは味方FWの背中にベッタリとつきながら敵DFのポジショニングをこんらんさせる。
そして敵DF陣どうしがぶつかりあうように移動する。
敵DF陣たちとナナのポジションがごっちゃになってきて、マークがずれてきた。
うまく引っかかったみたい。
すると相手DFのひとりが雨のせいで足をすべらせて倒れてしまう。
同時にコーナーキックのボールが味方のCチームからけられた。
いいボールがきた。
ナナはタイミングよくジャンプしてヘディングシュート!
ボールはゴールの上の右すみにうまく入った。
「ゴール!」
Cチーム一得点、一対0。
ナナ、思わずガッツポーズしちゃった。
Cチームのメンバーは自陣のポジションにもどっていく。
「ナナ、ナイスヘディング!」
チュンチュンがナナのうしろから声がけしてくれた。
ナナはふりむいて軽く手をふる。
雨がさらにはげしく降ってきた。
女子にはめずらしいショートカットヘアのナナ。
その髪にも雨がようしゃなく降りかかる。
ホイッスルが鳴って試合再開。
するとDチームが総こうげきをしかけてきた。
Cチームの左サイドを敵の右MFがえぐってきてセンターリング。
ナナはジャンプしてヘディング、Dチームのこうげきをはね返す。
そして味方にコーチングしながら空いているスペースを消していく。
だがDチームは何度もこうげきをしかけてくる。
いらだつナナ。
「ピッピッピー」
ホイッスルが鳴って十五分間の試合が終了。
雨のせいで、ユニフォームがとても重い。でもやっと一息つける。
ほんとはね、ナナも足をとられそうになることがたびたびあったけど、なんとかこらえたの。
ナナとしてはうまくまとめた、と思えるセレクションだったかな。
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