第14話

エルク、ラフィーナ、リーゼとその仲間たちには即日刑が執行され、ケルンの支配する地からの永久追放が決定された。

ケルンは日に日に味方を増やしていっており、それによって領土もまた日に日に増えていっている。

それはつまり、相対的に3人が息をひそめられる場所はすくなって言っていることになる。

3人がが安寧の地を求めてさまよい続けたとしても、そんな場所には永遠にたどり着けないことだろう。


「…これでよかったのかいセレシア?」

「はい、十分です。…仮にも私を育ててくれた方なのですから、もう一度だけチャンスを与えて差し上げてもいいのかなって…」

「そうか。君がそこまで想うのなら、それが一番だろう」


――――


あれから1年の時が経過した。

セレシアはすっかりその体を健康体にし、すれ違う人々からの視線を集めてケルンを嫉妬させていた。

ケルンもまたセレシアとの再会を機にいっそう王としての力を確かなものとし、その関係はもはやだれにも壊せないほどに固く結ばれていた。


ある日の事、セレシアを王室へと呼び出したケルンは、彼女に向けてこう言葉を発した。


「ずっとずっと待っていた。もうだめかもしれないと何度も思ったけれど、それでもこうして君に再会することができた。本当に、本当に、戻ってきてくれてありがとう」

「…ずるいですよ、ケルン様…。そんな言い方をされたら、もう私…」

「くすくす、今だけは我慢して最後まで聞いてほしいな(笑)」

「はい、わかりました(笑)」

「それじゃあ…。今こそ、あのピクニックに行った日の続きを…」

「…はい、私もずっとずっとお待ちしていましたから…」


――――


「はい、今日はここまで」

「えーーー!!!お母様、続きがきになるーーー!!!」

「こらこらエレナ、セレシアを困らせるんじゃないぞ~」

「はぁーい…」


かつて2人が言葉を交わした王室には、現在3人の姿があった。

長きにわたって失われていた、幸せに満ちた雰囲気と彩をともにして。

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絶縁書を出されて追放された後に、王族王子様と婚約することになりました。…え?すでに絶縁されているので、王族に入るのは私だけですよ? 大舟 @Daisen0926

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