第12話
自分たちも王族への仲間入りを果たせるに違いないと確信していた3人は、それぞれが勝手な振る舞いを始めていた。
――エルクの場合――
「なぁ!すごいだろう!元盗賊だった俺が、ついに王族の仲間入りだってよ!」
「はっはっは!王様と言っても頭はあまりよくないみたいだなぁ。お前みたいなのを仲間に入れてしまうなんて(笑)」
「おいラルク、俺たちは元盗賊仲間じゃないか!少しくらい俺たちにも金や食料を流してくれるんだろ?」
「まぁ焦るなよ(笑)もちろんそのつもりだ。一度王族に入ってしまえばこっちのもの、ゆくゆくは俺が王になったりするかもしれねぇな!」
「「はっはっは!!」」
エルクはかつての盗賊仲間を集め、自慢を兼ねた前祝を行っていた。
長らくあっていなかった者たちであっても、なんらかのつながりを駆使して呼び集めた様子…。
――ラフィーナの場合――
「最初で最後に私たちの役に立ってくれたようね、セレシア。…どういうわけか知らないけれど、今はあなたがケルン様の心をつかんでいるのね…。だけれど、それもすぐに終わることになるのよ…。私たちが今度こそ、王族から永遠にあなたのことを追い出してあげるんだから…♪」
ラフィーナはもうすでに自分が妃になったかのような妄想にふけっており、まさか自分たちの王族入りが認められないであろうことなど考えもしていない様子だった。
彼女もまたエルクと同じく、自分の王族入りを周囲の人々に言って回り、人々から向けられる羨望のまなざしに心躍らせていた。
――リーゼの場合――
「これとこれと……あぁ、たぶんケルン様はこういう服の方が好みよね…。あとは…」
リーゼはケルンとの関係をあきらめていないばかりか、むしろ相手がセレシアであることで、略奪婚が可能だとかんがえていた。
彼女はいまだにセレシアの事を見下している様子で、その性格はやはりちょっとやそっとの事では変わらないらしい。
「くすくす…。相手がお姉様なら、私と見比べれば絶対に私を選ばれるに決まっているわ。というか、そもそも相手にもならないわね…♪」
――――
そんな3人のもとに、数日後再びケルン王からの手紙がもたらされた。
自分たちの想像したとおりになっていると確信した3人は、さらにその機嫌をよいものにした。
「お父様!ケルン様からのお手紙です!!」
「ほら言っただろう!今度は絶対に俺たちをもてなすという内容の手紙に決まっている!!」
「さっすがあなた!!すべては思惑通りってわけね!」
この手紙の内容は、セレシアを婚約者として迎え入れるに伴い、自分たち3人を王族に迎え入れるというものに間違いない。
そう確信しながら3人は手紙に注目し、その内容を読み進めた。
その中には前回と同じく一枚の紙が入っており、こう書かれていた。
――――
以下を通知する。
セレシア・マグノリア本人に提出された、彼女との絶縁書を正式に受理した。
以上
――――
「「……………!?」」
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