作者の後書き

告解のような後書き

 後書きを書けるほどの器でないと思いつつ、やはり物語の出来に思うところがあり、心苦しいままに筆を執らせていただきます。

 我ながら焦りすぎてしまったと思います。

 キリの良い話数に拘ったこと、そして8月から続編の連載を始めると決めて結末を切り上げてしまったことについて、読者の方々(そして登場人物たち)に大変申し訳ないことをしたと、深く頭を下げるばかりです。

 その贖罪になることを祈りつつ、後書きとしてこの物語に対する私の思いを綴らせていただきます。


 元々この物語は続編となる【ソリストの協奏】の前日譚として構想されました。

 【ソリストの協奏】はトラウマを抱えた登場人物たちが力を合わせてVRMMOデスゲームを生き抜くというストーリーなのですが、主人公の師匠としてカナギというキャラクターを設定したところ、彼の背景に作者ながら疑問を抱き、バックストーリーを練り始めたことから【仇花の日常】が生まれました。

 当初決まっていたのは「カナギが葛藤の末に『仇花の宿』を辞める」ということのみ。センリたち岩戸邸の六人もまだ存在せず、物語を貫く主軸(と言い切れるほどのものでもありませんが……)となった「センリとカナギを繋ぐあの事件」及び「センリの罪の意識」も当然ありませんでした。

 カナギの相棒役としてセンリが生まれ、そこから絆に重みを付けるため現実での結びつきが生まれた形です。


 そして執筆を始めたのですが、構成や展開の知識も無くスキルやキャラクターも書きながら固めるような状態で、あちこち蛇行しながらの連載になってしまったため、読者の方々には読む上でかなりのストレスを感じさせてしまったと思います。

 今から思えば、何も知らないカナギ視点でセンリとの絆を通しゲームの裏側を知っていく展開の方が良かったかなと思います。もしくはセンリの視点でがっつり裏側のいざこざを描くか……。とにかく、どっちつかずになってしまったなあと反省しています。

 さらに結末のマサとの対決シーン(ラスボス枠にマサを据えたのも書きながら決めたことでした)も、「罪と傷を背負う」という彼らの葛藤に対する大きな解答を入れてみましたが、これも序盤からしっかり描写していればもっといいパンチになっただろうなと思います。

 【ソリストの協奏】に繋げるためにどうしよう……という意識が常にあり、伏線を張ったまま回収していない箇所もありますので(本当に申し訳ないです)、【ソリストの協奏】完結後にしっかり書き直しをしたいです。


 今後は一旦【ソリストの協奏】を連載しつつ、こちらで【仇花の日常】時点でのキャラクターたちのバックボーンを書き留めていきたいと思っています。

 やはりキャラクターを使い捨ててしまった感がありますので(とはいえほとんどのキャラクターは【ソリストの協奏】でも出番があるのですが)作者なりに供養したいというのと、自分の思索を一旦まとめて後に生かしたいという、ちゃっかりとした思惑があります。

 もしよろしければ、今一度お付き合いいただけると幸いです。


 ここまでお読みいただきありがとうございました。またお目にかかる日がございましたら、この上ない喜びです。


  天恵 月

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