変態作者による大大大傑作―!!

まず、「英雄」を目指すというのがいい。それも「勇者」や「救世主」、ましてや「聖人」でもないアレン自身の「英雄像」というのが最高です。しかもこれは、読み返すと本人がそれを自覚するずっと前から描写の随所に表れている。
さらに特筆すべきは登場人物の解像度の高さ。なんだこれ。作者さんは一体何度人生を周回したんだろう。作中の受け入れがたい出来事も、無理やり脳みそにブチ込む説得力があって、読みたくないのに読んでしまう魔性がある。特に序盤から中盤のシリアスはまるで西加奈子のようで痺れる。かと思えば、スペイン文学を思わせる細やかでユーモア溢れる言葉遣いのコメディシーンは軽快なテンポ感です。
また、主人公の心が歪んだり、折れたり、立ち直ったりして少しずつ成長していく様を見るのは心が躍ります。
ひたすら面白い。ダントツで。
もちろん作者さんは変態です(褒め言葉)