第100話 二度目の正直




「なあ、俺はどうすればいいと思う?」


 南の森を経由して火山の麓の街へと向かう魔導馬車の中。

 俺は女々しくも、ティアの反応を少しでも好意的なものにすべくクリスに相談を持ち掛けていた。


「知らないよそんなの……。ティアちゃんの立場なら、ようやく結成されたパーティ名に他の女の名前が入ってるだけでムッとしちゃうんじゃない?それがよりにもよって……」


 知らないと言いながらも律儀に返事をくれるクリスは本当に良い相棒だと思う。


「ティアがに気づかないってことはないか?」

「うーん……………………。仮に気づかなかったとしたら、これどういう意味ですかって聞かれることになるよね?」

「ぐっ……そうか……」


 やたら長い沈黙の後、余計にまずいことになると結論を出したクリスに、しかし反論は思い浮かばない。

 純粋なティアなら、なんだろうと思ったらすぐに聞いてきそうだ。


「そうだ!疲れてるティアの代わりに俺が報告手続を――――」

「窓口でフィーネちゃんと大喧嘩する気かい?」

「………………」


 万事休す。


「あー……、誰か過去に戻って俺の暴挙を止めてくれー……」

「処置無しだね」


 いつかの仕返しのつもりか、肩をすくめて諦めろと言うクリスを睨んでも状況は好転しない。

 誰がどう見ても俺が悪いし、完全に手遅れだ。


 仕方ない、切り替えていこう。


「まあ、こうなった以上は仕方ないな」

「あれ、諦めたの?」

「ティアにバレることは諦める。その上で少しでも嫌悪感を軽減できるように、今日の依頼でいいところを見せておこうと思う」

「……ティアちゃん、かわいそう」


 ゴミを見るような視線が俺を苛む。


 これは思ったよりキツい。

 普段優しいクリスがやるから、なおさらキツい。


「さて、少し時間もあることだしひと眠りしようかな」

「………………」


 南の森まであと1時間弱。

 到着するころには、クリスの態度も軟化していることだろう。





 ◇ ◇ ◇





 森の近くで途中下車。

 火山の麓の街へと去っていく魔導馬車を見送ると、俺たちは南の森へ向けて歩みを進める。


「クリス、どっちだ?」

「うーん、僕のスキルは索敵用じゃないんだけど……」


 今回の獲物である未確認の巨大蛇型魔獣。

 依頼票によれば、なんと全長50メートルもの巨体であるらしい。

 流石に見間違いを疑いたくなる数字だが、話半分としても25メートルなのだから、こんな巨体がどのようにして隠れていたのかと疑問に思わざるを得ない。

 しかし、その疑問については地図を見れば一発で解決する。


 南の森は、広いのだ。


 都市を治める領主の支配地域のおよそ4分の1を南の森が占める。

 嘘か真か、そんな話を聞くくらいには広い。

 そんな広さの森だから、巨大魔獣の全長が50メートルだろうが100メートルだろうが、すっぽりと覆い隠してしまうというわけだ。

 なんならそれらが群れで生息していて、その上にさらに一回り大きいボス蛇がいたって不思議ではない。


「たぶん、こっちかな」


 クリスは自信なさそうに南東を指さした。


「あんまり自信なさそうだな?」

「アレンと一緒なら危険ではないんだろうね。その魔獣は」

「なるほどな……」


 しかし、他にアテなどない。

 俺たちはクリスのを頼りに、南東へ向けて歩き出した。


「見つからないな」

「戦闘音が聞こえないのは幸運なのか不運なのか……迷うところだね」

「いくら蛇とはいえ何十メートルもある巨体なら、戦闘中じゃなくても移動音がしそうなもんだけどな」


 巨大な魔獣すら覆い隠してしまう広大な森で、一人の少女を探し出すことの難しさ。

 案外なんとかなるのではないかと楽観的に構えていたが、静かな森の中を2時間も歩いて手がかりなしとなれば、そろそろ考えを改めなければならない。


「アレン!正面から何か来る!」


 キョロキョロと周囲を見回していた俺に、クリスが敵襲を告げた。

 俺は素早く剣を抜き放ち、クリスの視線の先に体を向ける。

 しかし、俺の視線の先には木が鬱蒼と生い茂るばかりで、敵の影を見つけることはできなかった。


「俺には何も見えないが、ついにお出ましか?」

「いや、これは――――」


 クリスの言葉が終わるか終わらぬかといったタイミングで、正面から凄まじい速度で地を這う何かがこちらに向かって――――は来ず、俺とクリスが待ち受ける場所を大きく迂回するように、そのまま背後の森の中へと消えて行った。


 剣を構えた俺たちの間に、微妙な空気が流れる。


「…………一瞬だけ、兎のような何かが見えたな」

「見えたね」

「ホーンラビットか?」

「ただの野ウサギじゃないかなあ?」

「まじか……兎ってあんなに速いんだな……」

「意外だけど、実際騎獣と勝負できそうなくらい速いからね……っ、また!何か来る!!」

「ッ!」


 クリスの言葉が終わるか終わらぬかといったタイミングで、正面から凄まじい速度で地を這う何か――――もとい兎の群れが、やはり俺とクリスを避け、そのまま森の中へと消えて行った。


「………………」

「仕方ないじゃないか!何が来るかなんてわからないんだよ!」

「ああ……、そうだったな……」


 無警戒で魔獣に襲われるよりは、警戒して兎に素通りされる方がずっと良い。

 俺はそれを十分に理解している。

 野ウサギだろうと野良犬だろうと、何度だって警戒してやるとも。


「しかし、ずいぶんと急いでたな、今の兎ども」


 一体なんだったのだろうか。

 今の様子は、まるで――――


「うん。まるで、何かから逃げているみたいな……」


 クリスも同じことを考えたようだ。

 ティアだけでも勝算がないわけではないとはいえ、急いだほうがいいかもしれない。


「無駄かもしれないが、ちょっと上から見てくる」

「木登りかい?気を付けてくれよ」


 俺は剣をベルトごと外すと、目につく中で背が高く登りやすそうな木を選んで、その幹に手をかける。

 これ以上は無理と思えるところまで一気に登りきると、俺の視線はぎりぎり他の木よりも高くなった。


 歩いているときは気づかなかったが、この辺りは全体的に緩やかな下り坂になっているようだ。

 そのおかげで、俺が思ったよりも遠くまで見通すことができる。

 しかしそれでも、南の森は俺の視線の届く限り続いていた。


(やっぱり広いな。この森から女の子一人を探すのは…………うん?)


 一瞬、目の端で何かが動いた気がした。

 急いでそちらに視線を向けたが、それらしきものを見つけることができない。

 見間違いか、それとも気のせいか。

 俺は念のため、腰に吊っていた新品の双眼鏡を片手にもう一度そちらを確認して――――


「――――ッ!!」


 太い枝を渡り、素早く地面に舞い戻ると、剣を拾って走りながら身に着けた。

 血相を変えた俺の様子を見て、クリスもすぐさま俺のあとを追ってくる。


「アレン!」

「一瞬だが蛇の頭みたいなのが見えた!距離1000か1500くらい!向かって右奥から左手前に移動してる!」

「ッ!ティアちゃんは!?」

「見えない!ただ、何かを追いかけてる!」

「急ごう!ティアちゃんが危な――――」


 必要な情報伝えると、クリスを待たずに森の中を全速力で駆けていく。

 蛇の進行方向や速度から最短で蛇と接触できるよう、11時の方向に木をかき分けて進んで行く。


(くそっ、邪魔だ!)


 ゆっくり歩いていれば気にならない森の木々も、全速力で駆ければ途端に障害物となって俺の前に立ちふさがる。

 何度も木々に肩をぶつけながら、それでも俺は再び蛇を視界に捉えるために遠くを見つめ続ける。


「ティア!いるのか!?」


 秩序なく並んだ木々が俺の視界を妨げる。

 木の上から確認した蛇の姿は地面に下りた時にはすでに見失っており、今からもう一度木に登る余裕などありはしない。

 予想どおりであればそろそろ見えてもいい頃だというのに、蛇もティアも一向にその姿を見せてはくれない。


(進行方向が変わったか……!?)


 この森の中で巨大な蛇から逃げ続けるなら、同じ方向に逃げ続けるよりも時々進路を変えた方が上手く逃げられるかもしれない。

 しかし、もしティアがそうしていれば、俺は見当違いの方向に走っている可能性も出てくる。


 焦燥感が急激に高まっていく。

 フィーネは危険だけどティアだけでもなんとかなるかもしれないと判断して、ティアに依頼を受けさせた。

 しかし、ティアだけではなんともならない可能性は、全く排除されていない。

 それは当然のことだ。

 後衛である魔法使いが一人で自分のランクと同程度の依頼を受けて、余裕があるはずもない。


「ティア!!どこだっ!!」


 俺は祈るような気持ちで彼女の名を叫んだ。


 期待した返事は返ってこない。


 その代わり、木が倒れる音とわずかな衝撃が遠くから伝わってきた。


「――――ッ!」


 俺は音が聞こえた方へ向かって駆ける。

 一秒でも早くたどり着くために、必死で脚を動かした。


「ッ!見つけた!」


 木の幹に溶け込むような色の馬鹿みたいに長い胴体。

 太さも相当なもので、直径はおそらく俺の身長よりも大きい。

 その先には当然ながら蛇の頭部。

 

 そして――――


「ティア!!!」


 俺が叫んだ直後、木が倒れる音が静かな森の中に響き渡る。

 距離が近づいたからか、音は先ほどよりもずっと大きい。

 この音を間近で聞いているティアには、きっと俺の声は届いていないだろう。


 蛇の頭部からそう遠くない場所に見え隠れする白いローブの影は、今も大蛇から逃げ続けていた。

 その速度は鈍重で、疲労の蓄積をうかがわせる。


 一方、彼女を追う大蛇は獲物が疲弊しきるのを待つかのように、獲物の速度に合わせて巨体をくねらせ、一定の距離を保っている。

 しかし、あの様子では大蛇が彼女に飛び掛かるのも時間の問題だ。


「くそっ!!」


 今すぐにティアを抱き上げて、あの蛇のもとから連れ去りたい。


 その意思に反して、彼女と俺の距離はなかなか縮まらない。


 ギルドを出てきたときの軽い足取りが嘘のように、足に力が入らない。


「ティア!!」


 それでも俺は駆け続けた。

 何度間違ってもなお間違いを犯し続ける己の不甲斐なさを恨みながら。

 心が弱いばかりに、彼女を危険な目に合わせてしまった己の情けなさを呪いながら。

 それでも、助けてみせると決意の炎を胸に灯して、俺は駆け続けた。


(今度こそ……?)


 必死に体を動かしながら、ふと、自分の胸に浮かんだ想いに疑問を抱く。

 自分で言うのもなんだが、俺はティアのことを何度も助けてきたはずだ。

 彼女を助けられなかったことは、まだないはずだ。


(いや、湖の畔では、助けたとは言えないか……)


 あれは助かったと評すべきものだろう。


 しかし、しっくりこない。

 そういうことではないのだ。


 なぜだろうか。


 俺はこの状況に既視感を覚えている。


「ッ!」


 ドォン、と木が倒れる音。

 よく見ると、木を倒しているのは大蛇ではない。


 ティアが木を巻き込むように<氷魔法>を発動させ、倒木により大蛇にダメージを与えようとしているようだった。

 倒木は彼女の狙いどおりに大蛇を直撃し、その動きを鈍らせる。

 しかし、倒木による攻撃の威力は大蛇の行動を封じるほど高くない。

 そんな回りくどいことをするよりも、直接<氷魔法>を大蛇に叩き込んだ方が――――


(…………くそっ、バカか、俺は!!)


 そんなこと、ティアだってわかっているはずだ。

 にもかかわらず、森の木々を使った攻撃に切り替えた理由。


 思いつくことはひとつしかない。


(もう、ティアの魔力が残ってない……!)


 力が上手く伝わらない足を必死に動かし続け、ティアとの距離はあと数十メートル。


 もう少し。

 あと10秒足らずで手が届く距離。


 だというのに――――ティアの体は今まさにバランスを崩し、柔らかな土の上に倒れこもうとしていた。


「――――――――ッ!」


 俺の頭の中に、の光景がフラッシュバックする。


 巨体の前にその身を投げ出した名も知らぬ少女。

 その少女と俺を諸共に砕いた鋼鉄の大蛇。


 既視感を覚えるのも無理はない。

 この状況は、俺が迎えたに似ているのだ。


 彼女の体が投げ出され、愛用の杖が森の中を転がった。


 その様子を見た大蛇が喜々として獲物との距離を詰めていく。

 素早く体を起こして立ち上がろうとした少女は、しかし、うまく起き上がることができない。

 どこか痛めたのだろう、土で汚れた顔が苦痛に歪んでいる。


「ッ!――――当たって!」


 なんとか上半身を起こした少女が、生成した氷の槍はわずかに1本。

 その大きさは大猿を射抜いたときよりも一回り大きいが、たった1本では攻撃手段として物足りない。

 実際、巨体に似合わず俊敏な動きを見せた大蛇は、少女との距離を詰めながらも難なく少女の魔法を回避してみせた。

 大蛇はまるで少女の最期の足掻きを嘲笑するかのように大口を開ける。

 それが閉じられるとき、少女の運命が決してしまう。


 万策尽きたのか、少女はゆっくりと目を閉じた。


(させるかよ……)


 <強化魔法>の全力行使。


 魔力は有り余っているにもかかわらず、体が耐えられないためにここぞというところでしか使えない最終手段。


 少女との距離は、あと10メートル。


 蛇が少女を喰らう寸前、きっと俺の手は少女に届く。

 しかし、それだけでは一度目と変わらない。

 それだけでは、少女を助けることはできない。


 少女との距離は、あと5メートル。


 少女を抱き上げて蛇の突進を回避するには、残された時間が少なすぎる。

 ならば、俺に残された手段は一つしかない。


 太さだけでも俺の身長を超える、全長数十メートルの大蛇。

 その牙の破壊力は、過去に戦った双頭の大熊や黒鬼の攻撃を遥かに凌ぐだろう。

 これを止められるかどうかはわからない。

 一発勝負の賭けになる。


 少女との距離は0になり、俺の手が少女に――――届いた。


 大蛇の牙が頭上から迫る。

 耐えられるかどうか確信はない。


 それでも、やらなければならない。


 きっとこれは、俺が過去を乗り越え、英雄への一歩を踏み出すための重要な通過点。

 

 たった一人さえ守れないならば、守りたいものすべてを守るなんてできはしないのだから。


「止まれえええええええええぇ!!!!!」


 俺は右腕で少女を庇うように抱きすくめ、左腕を大蛇へ向けて突き出した。




 <結界魔法>が砕ける甲高い音。




 そして――――静寂。




 少女を追い続けた大蛇の牙は、ついに少女の眼前で停止した。


「…………はは」


 場違いな笑い声が、つかの間の静寂を破る。

 その声が自分の口から漏れているのだと気づくまでに、俺は少しだけ時間を要した。


 右腕に抱いた少女。

 必死に蛇から逃げ続けたことで限界まで疲労が蓄積しているからか、その呼吸は荒い。

 体から伝わる熱も、少女の状態が決して良くないということを如実に物語っている。


 しかし、俺はその荒い呼吸を、その熱を、何よりも嬉しく思った。


 少女の荒い呼吸が、少女の生存を実感させるから。

 少女の熱が、少女を守れたことを何よりも証明するから。


「――――ッ!」


 大蛇が再び動き出し、俺たちを喰らわんと大口を開けた。

 獲物をかみ砕くことができなかったことを不思議に思っているのか、大蛇の動きは先ほどよりもずっと緩やかで、俺がそれを防ぐことは造作もない。

 俺は再び巨大な<結界魔法>を大蛇の牙を抑えるように配置すると、大蛇の牙は先ほどと同様に<結界魔法>を砕き、俺たちの手前でピタリと停止した。


「ったく……。人が感傷に浸ってるときに、気の利かない奴め」


 いや、そういえばまだ戦闘中だった。

 どうにかしてティアと合流すること、大蛇を見つけてからは大蛇とティアの間に割り込むことばかりを考えていたから、ティアを確保した時点で任務完了の気分になっていた。

 よくよく思い出してみれば、今回の目的はティアを援護してこの巨大な蛇を退治することだ。

 つまり、まだ俺たちの依頼は完了していない。


 巨大な魔獣から少女を守ることに成功した英雄。

 目の前には立ちふさがる巨大な魔獣。


 だったら、次にやることなんて決まりきっている。


 俺は左手で彼女を支えながら、背負った剣の柄に手をかける。

 当然、視線は大蛇から外さない。


「ティア――――」


 立てるか、と聞こうとして、彼女が足を痛めていたことを思い出した。


 大蛇と戦うこと自体は問題ない。

 刃渡りの倍以上の太さのある胴体だから一刀両断とはいかないが、時間をかければ俺一人でも十分に削りきれるように思う。


 しかし、俺が大蛇と戦えば、大蛇が周囲の木々をなぎ倒したり、その巨体で暴れたり、彼女を危険に晒す結果になるということは容易に想像できる。

 かといって彼女を抱えれば、今度は俺が剣をまともに振れなくなる。


 あちらを立てればこちらが立たず。


(まあ、今の俺じゃあ、英雄のようにカッコよくはいかないか……)


 今の俺は、差し詰め『英雄見習い』といったところだろう。

 そんな俺にとって、ティアを守れたという結果こそが何よりも重要。

 それ以上を望むのは贅沢というものだ。


 そう、今はまだ。


「すまない!待たせた!」

「遅いぞ!クリス!」


 遅れて到着したクリスが剣を抜いて臨戦態勢になった。

 大蛇がクリスに気をとられている隙に、俺はティアを抱き上げて少しだけ距離をとる。


 これで、3人がそろった。


「クリス、前衛を頼む」

「わかった!」

「ティア、悪いがもうひと働きしてもらうぞ」

「………………」


 ティアからの返事がない。

 不安になって腕の中のティアを見下ろすと、彼女と視線がかち合う。

 その瞳には薄っすらと涙が浮かんでおり、両手を胸に抱くようにしながら熱のこもった視線をこちらへ向けていた。

 思わず力いっぱい抱きしめたくなるような色っぽい表情で、戦闘中にもかかわらず俺の理性を全力で削りにきている。


 もちろん、ティアにそんなつもりはないのだろうが。


「ティア」

「え?…………あっ、はい!頑張ります!」

「悪いな。頼んだぞ」


 疲れているだろうから本当に心苦しいが、ティアに攻撃を担当してもらうのが最も安全だ。


「さて――――」


 視線を大蛇へと戻し、少しだけ色ぼけした思考を戦闘用に切り替える。


 それぞれの役割を確認し、連携して魔獣の討伐に臨む。

 改めて考えると、パーティというのはなんと頼もしいものだろうか。

 油断するつもりなどさらさらないが、もうこんな大蛇ごときに負ける気はしない。


「パーティとしての初仕事だ!勝利で飾るぞ!」

「了解!」

「はいっ!」


 俺の掛け声とともに戦いの火蓋は切られ――――――――果たして数分後、魔力が回復したティアの<氷魔法>によって、俺たちの初仕事は完遂されたのだった。



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