はじめてのキス
@qofbliz999
第1話
二人ともが問いにびっくりした顔をして陸を見つめた。
「これ、りっくんが答えんの?」
「うんそうなんだよ……」
「こっ、こっ、こっ、こっ」
「こっ?」
「そうちゃん、それじゃ、にわとりじゃん!」
「ご、ごめんよ。驚いてしまったよ。しかしこれはなんというか、試練を与えられているような質問だね」
壮五は腕を組むと『うーん』と唸り声をあげる。
途方に暮れた視線の先には、先ほどよりも眉を下げてションボリした顔をしてた陸いる。
「協力出来ずにごめんね。この質問だと、僕では協力が出来ないかもしれないね……」
「そ、そうですよね……」
戸惑った顔を通り越して、苦笑になる。
「うーん、何かいいアイデアがあればいいんだけれど……。とりあえず、同じような質問をネットで検索をして、そこから統計と対策を導き出した後に、陸君が回答しそうな物を抽出していくというのはどうだろか?」
「え? え えーと、あの……。か、簡単に言うとどういうことでしょうか?」
「つまりだね、要約すると取捨選択を~」
壮五が言葉の続きを話そうと口を開いた瞬間、環が『あー!!!!』と大きな声をあげる。
「いきなり大声上げてどうしたの? 環?」
「どうしたんだい、環君。いきなり大きな声を出して……」
「あんた、頭いいけど、ぜってーよくわかんねー言葉でちょーめんどくさい説明すんだろ~」
「そんなことはなと思うよ、多分……」
自信なさげな表情をしたまま、壮五がまた何かを考え込む。
環は重い空気を払しょくするように、答えがわかった生徒の様に右手を上げた。
「それよりさ! 俺、すんげーいいこと思いついちゃった!」
「何、何? 環!」
「この質問、皆に聞いてみりゃいーじゃん。全員の経験? を参考にしてさ、な! 俺ってちょー頭いー」
「え、え、えぇ~? た、環君……、皆のって、それはメンバー全員のエピソードを聞くということかい? そ、それはちょっと……」
「なんだよ、荘ちゃんだって初恋? とかファーストキス? とか経験あんだろう!」
「え? ぼ、僕? それはまあ、たしなむ程度には……。と言うか環君もあるのかい?」
「そりゃーまあ……」
照れる環の姿に、壮五は頭を抱えている横で、陸は目をキラキラ輝かせている。
「すごい! 俺、環のも壮五さんのも聞きたいです!」
「だろ~?」
「いいアイデアだよ、さすが環、やぁるぅー! じゃあさ、夕飯の時にそこで聞いてみよう!」
「いえーい!」
「いえーい!」
「ちょっと、ちょっと環君! 陸君まで……」
壮五が止めるのも聞こえずに、嬉しそうに環と陸はハイタッチを交わす。
はじめてのキス @qofbliz999
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