第12話 主題と演出で魅せる ②

 ども、ぱのすけです。

 更に更に間隔が空いてしまいました……。

「そういえばさぁ!」と言いながらどこかに行ってしまった人状態ですが、戻って参りました。


「主題と演出で魅せる」第2回でございます。


 前回、「〇〇だった主人公が〇〇を経て〇〇となる話」の法則に当てはめた拙作の主題が「欠陥品皇太子と言われていた主人公が宮廷闘争や邪神との戦いを経て英雄になる話」となった所までお話ししました。


 ここで落ち着いて長らく拙作のキャッチコピーは「欠陥品皇太子はやがて邪神を貫く刃となる」のままでした。連載期間の8割方はこれだった気がします。

 これはこれで気に入っていたキャッチコピーでしたが、ある時ふと「いや、これってやっぱり主題じゃなく演出を並べてるだけじゃね?」と思いました。


 「欠陥品皇太子」が「邪神」を倒す話。

 一見すると主題に見える。

 いやいや待てよ、「欠陥品皇太子」と言っている時点でそれは主人公の要素の1つ。この物語はこんな主人公よ、と示す「演出」じゃ?

 じゃあ、私は主人公のフェスタローゼを使ってどんな物語を描きたいのか。何を主題にしているのか。


 真っ白になりかける頭を叱咤して、ウンウン考えた結果。

 舞い降りて来たのが「私が書きたいのは、主人公の成長譚なんだ!」という閃きでした。まぁ、閃きというにはしごくシンプルに過ぎる気付きなのですが……。今更そこなの?という位に基本の「き」ですが。


 成長して行く主人公を描く。それが「フォーン帝国列世記」の主題です。

 その「主題」を効果的に描くための「演出」が、「欠陥品皇太子」、「邪神との戦い」なわけです。


 それを踏まえて考えたのが現在のキャッチコピー、「できそこない皇女はやがて花開く。『女帝』への道を歩む皇女を巡る群像劇」です。

 

「できそこない」と呼ばれる皇女の成長を、彼女を取り巻く種々様々な人々のエピソードを交えて描く群像劇。これが最適解とは思ってませんが、現在の力量で示せる私の「フォーン帝国列世記」の主題です。


 つまり「主題」と「演出」とは、料理に例えれば素材にどんな味付けを施すか、ということです。

 新鮮な鯛を塩を振って焼くのか、甘辛く煮つけるのか、昆布の風味をつけて昆布じめにするか。はたまた白ワインを香らせたムニエルにするのか。


「恋をする2人」を主題とした時。

 重なって行く2人の思いをどんな演出で示すのか。

 敵国の姫と騎士という逆境で魅せるのか、幼馴染み同士という日常で魅せて行くのか。


 選んだ「主題」をどんな「演出」で魅せるのか。それこそが、「作家性」という個性に繋がっていくわけです。

 ただ、この「主題」と「演出」というのは非常に密接に繋がりあっているので、見極めが難しい。私も未だにどれが主題でどれが演出に当たるのか。混乱ばかりしています。こればっかりは都度、考えて、考えて習得していくしかない部分ですね……。

 

 ものっすごく持論ですが、小説は「天才」のいない分野だと思っています。

 才能がなくとも、理論を探り、実践して、積み重ねていく。その繰り返しで上がっていくことができる。とっても努力し甲斐のある分野です。


 書けてはいるけど最近、筆が鈍りつつある……。もうちょっと上手くなりたい。

 そんな方は選んだ「主題」をどう「演出」するか。そこに着目して物語作りをしてみると新たな展望が開けて来るかもしれません。


 次回は「読み手の胸倉を掴みに行け」でお話ししたいと思います。

 ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る