第25話 荒れる三日目
――翌朝!
冒険者生活三日目、ミレットとパーティーを組んで二日目だ。
冒険者ギルドへ行くとミレットの姿が見当たらなかった。
昨日は、俺より早く来ていたが……。
俺は冒険者ギルドのホールに立ち、注意してミレットを探したがいない。
仕方ない。しばらくミレットを待つことにしよう。
冒険者ギルドのホールから、次々と冒険者パーティーが出発していく。
俺と同期の新人パーティーも出発していく。
やがてホールには人がいなくなった。
冒険者ギルドのドアが開き、ミレットの護衛をする女騎士シンシアさんが入って来た。
だが、ミレットはいない。
どうしたのだろう?
俺はシンシアさんに声を掛けた。
「シンシアさん、おはようございます! ミレットは?」
「ユウト。本日、ミレット様はお休みになる」
「えっ!?」
どうしたのだろうか?
昨日は特におかしな様子はなかった。
俺はミレットが心配になり、護衛のシンシアさんに尋ねた。
「ミレットは体調が悪いんですか? 病気? 昨日、どこか怪我をしていたのでしょうか?」
俺はかなり心配をしていたのだろう。
護衛のシンシアさんが、慌てて手を振って俺をなだめるように説明しだした。
「いや! そうではない! ミレット様の体調は良いし、どこも怪我はしていない。心配は無用だ。今日は旦那様とお話があるので、ダンジョン探索に参加出来ないのだ」
ミレットが無事と聞いて、俺はホッとした。
「旦那様というと、ミレットのお父さんでしょうか?」
「そうだ。旦那様はお忙しいので、ゆっくり話す時間がなかなかとれないのだ。今日は、まとまった時間がとれるので、ミレット様が旦那様の予定に合わせたのだ」
「なるほど。家族と話す時間をスケジュール調整しないととれないなんて大変ですね」
家族会議というわけか。
ミレットのお父さんも大変だな。
「わかりました! じゃあ、今日は俺一人でダンジョンに潜ってきます。連絡ありがとうございました!」
「うむ。気をつけて。無理をするなよ」
「はい!」
俺は護衛のシンシアさんと別れ、一人でダンジョンへ向かった。
今日は、無理をしないでおこう。
城塞都市トロザの町を出て、魔の森へ。
(あれ……?)
俺のスキル【気配察知】に、ずっと変な反応がある。
トロザの町から一定の距離を置いて、ずっと俺をつけてくる気配があるのだ。
もう、冒険者は出発していて、冒険者ギルドを出た時は俺一人だった。
俺の他に出遅れた冒険者がいたのかな?
魔の森の中の分かれ道で、俺は初心者ダンジョンの方へ向かう。
すると後ろの気配も、初心者ダンジョンの方へ来た。
(えっ!? つけられている!?)
初心者ダンジョンへ潜るのは新人だけだ。
俺がミレットを待っている間に、新人たちは出発していた。
俺の後ろをついてくるのは誰なのだろう?
(距離が詰まってる!?)
スキル【気配察知】によって、俺は後ろの気配が距離を詰めてきたことを感じ取った。
俺は歩く足を速め、後ろの気配から距離を取ろうとした。
すると、後ろの気配もスピードが上がる。
(何だ!?)
俺は初心者ダンジョンの入り口に到着した。
気配はすぐ後ろに来ている。
「オイ!」
後ろの気配が、大声を上げた。
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