第19話 ミレット@レベル2

「ユウト。終りましたよ!」


 ミレットのレベルアップが終った。

 振り向くとミレットは、満面の笑みだ。

 レベル2になったことが、相当嬉しいのだろう。


「次はユウトの番ですね。わたくしが見張りますから、レベルアップして下さい」


「いや、俺はまだレベルアップ出来ないんだ」


「えっ!? 私たちの持っている討伐ポイントは同じですよね!?」


「えーと。昨日、討伐ポイントを3ポイント使っちゃったんだ」


「えっ!? そうなの!?」


 うっ……すごい疑問を持たれている。

 だが、『スキルを取得するのに討伐ポイントを使いました』とは言えない。

 俺の特殊なスキルがバレてしまう。


「まあ、ちょっとね! ハハハ! じゃあ、出口へ向かいながら魔物を探そう!」


「……」


 ミレットが不思議そうな顔をしたが、俺は強引に会話を打ち切り出発した。

 ミレットの生暖かい視線が辛い。


 おっと! スキル【気配察知】に反応が!


「ミレット! こっちだ!」


 ダンジョン通路の角を曲がり、小走りに通路を進む。

 いた!

 ホーンラビット!


「行くよ!」


「お願いします!」


 ミレットは、俺に疑問を感じていたようだが、返事を聞く限り、きっちり切り替えてくれている。

 戦闘に不安はない。


 俺はこれまでと同じく、ホーンラビットとの距離をダッシュで潰して、盾を使って立ち回る。


「撃ちます!」


 ミレットから合図が来た。


「オッケー!」


 俺はサッと身をひるがえし、ホーンラビットから距離を取る。


「ファイヤーボール!」


 ミレットの杖の先からソフトボール大の火の玉が発射された。


 ゴウゥゥゥ!


 ミレットが放った魔法ファイヤーボール。

 火の玉の大きさはこれまでと同じだが、音がこれまでより大きい!


 ファイヤーボールは、唸りを上げてホーンラビットに襲いかかった。

 ミレットが放ったファイヤーボールが、ホーンラビットの頭部に着弾した。


 バッ! とエフェクトがかかったように火が爆ぜる。

 ホーンラビットは煙になって消え魔石がドロップした。


 俺は魔石を拾い上げながら、ミレットを褒めた。


「凄いね! ファイヤーボールの威力が上がってるよね?」


「やっぱり、そう思いますか!?」


「うん! 音が大きくなっていた! 着弾した後は火がバチバチっとなったよ!」


「レベルアップ効果ですね! MPも全て回復すれば、今までより多く撃てそうです!」


 なるほど。

 ゲームでいうと、魔力や知力とMPが上昇したイメージかな?


「合計何発くらい撃てそう?」


「十二発……かなあ……」


「二発増えているね!」


 たかが二発、されど二発。

 これまでより探索時間を長く取れるということだ。

 レベルアップ効果は大きいな。


 俺たちは探索を続けた。

 出口近くで、俺の討伐ポイントが10になり、レベル2にレベルアップ可能になった。

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