第18話 探知スキル
その後、二匹のホーンラビットを討伐した。
俺の討伐ポイントは6。ミレットは9だ。
ミレットは、あと一匹討伐すればレベルアップ出来る。
「ここだね!」
「おお! 到着しました!」
俺たちは、二階層へ続く階段に到着した。
「ミレット。どうする?」
「シンシアから受けたアドバイスですが、二階層はレベル2になってからの方が良いそうです」
「じゃあ、入り口に戻りながらホーンラビットを探して討伐しようか?」
「はい。そうしましょう!」
俺の提案にミレットも賛成した。
俺たちは来た道を戻る。
(あっちにいるな……)
俺のスキル【気配察知】が仕事をしている。
気配察知はパッシブスキルのようで、『なんとなーくだけど、あっちに何かいるな……』と感じることが出来る。
距離や数はわからない。
ぼんやりと感じるだけだ。
それでも魔物から不意打ちを喰らわなくなるし、魔物を探すのにありがたいスキルだ。
昨日、新人研修の後。
先輩冒険者たちが、『気配察知持ちはいるか? ウチに入らないか?』とスカウトをしていた。
先輩たちからしても有用なスキルなのだろう。
「ミレット。ここを左に曲がってみようか?」
俺は気配を感じた場所で、通路を左に曲がろうと提案する。
シンシアがちょっと心配そうな顔をした。
「大丈夫ですか? 迷いませんか?」
「うん。左に曲がって、ちょっと進んだらここに戻ってくるから大丈夫だよ」
「でしたら、左へ行ってみましょう」
左へ曲がって進むと、五人組の冒険者パーティーがいた。
どうやら俺が感じた気配は、彼らのようだ。
「先客がいるね。引き返そう」
俺たちは通路を戻り、また出口へ向けて歩く。
なるほどスキル【気配察知】は、魔物だけでなく人の気配も察知するのか……。
まあ、それでも、獲物を求めて無闇に歩くよりはマシだろう。
また、【気配察知】にひっかかった。
右に何かいるな?
「右へ行ってみよう」
通路を右に曲がり進むとホーンラビットがいた。
「見つけた!」
「やりましょう!」
当然だ!
俺は獲物へ向けてダッシュする!
ホーンラビットとの距離を潰し、同じように盾でホーンラビットの相手をする。
ミレットが魔法を撃ちやす位置にホーンラビットを誘導する。
「撃ちます!」
「了解!」
俺はサッと身をひるがえし、ホーンラビットから距離を取る。
「ファイヤーボール!」
ミレットの杖の先からソフトボール大の火の玉が発射された。
ゴウ!
ファイヤーボールは、唸りを上げてホーンラビットに襲いかかった。
ミレットが放ったファイヤーボールが、ホーンラビットの頭部に直撃し、ホーンラビットは煙になって消え魔石がドロップした。
多分、これでミレットの討伐ポイントは10になったはずだ。
レベル2にレベルアップ出来る。
「ミレット。レベルアップかな?」
「はい! 討伐ポイントが10貯まりました!」
ミレットはニコニコ笑っている。
嬉しそうだ。
「俺が見張っているからレベルアップしちゃいなよ」
スキル【気配察知】に反応はない。
突然、魔物に襲われる心配はないし、万一襲われたとしても一匹なら俺一人でも対応出来る。
ミレットは、ちょっと考えてから返事をした。
「では、見張りをお願いします。ステータス! オープン!」
俺はミレットに背を向けて、ステータスボードを見ないようにした。
これでミレットはレベル2。
俺はあと三匹討伐すればレベル2だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます