第14話:やってきた女。
で、ふたりが同棲しはじめたマンション。
ある日、誰かが一吾の部屋のドアホンを鳴らしたものがいた。
マンションのセキュリティーを物ともせず一吾の部屋までやって来れる人物。
一吾はもしかしてと思って、ドアをそっと開けた。
そしたらいきなり
「やっほ〜一吾〜・・・おっじゃま〜」
「
「噂で一吾に新しい彼女ができたって耳にしたから、どんな彼女か、品定め・・・
見に来てやった」
「品定めってなんだよ」
「あがるね」
結衣は木之下と同じように自分ちの家みたいに、づけづけ部屋の中に入ってきた。
昼食の支度をしていた苺は、誰かが来たと思って台所から顔を出した。
「イッちゃん〜だれか来たの?」
で当然のように苺とは香乃は鉢合わせになるわけで
苺を見た香乃・・・開口一番。
「?メイド?」
「どこの店「メイドカフェ」からスカウトしたの?一吾」
「って言うか・・・負けた・・・」
「一吾の新しい彼女ってどんなブス女か見てやろうと思って来たのに」
「うそでしょ・・・めっちゃ綺麗じゃん」
「あの・・・あなたは?」
「あ、私、
「
苺はペコッと頭を下げた。
「うそ〜、いちごって・・・ふたり同じ名前じゃん・・・」
「へ〜そうなんだ・・・」
「つうか合格だね・・・苺さん、いい人っぽい」
「私、一目見てその人が、いい人かそうじゃないか分かるの」
「って言うか、苺さん・・・似てるよね、一目見てそう思った」
「ねえ一吾〜、苺さんといつから付き合ってるの?」
「ピテカントロプスが地上に現れたころからだよ」
一吾は木之下に言ったことと同じことを言った。
「それいつまで使うつもり?、くだらないギャグ、そろそろ変えたら」
「あんたが女作るたびに何度も聞いたわ」
「苺さん、一吾って女たらしだから気をつけたほうがいいわよ」
「なにバカなこと言ってんだよ・・・いい加減なこと言うな」
「なんかさ、彼女ちゃんが私より綺麗って許せないわね・・・ふたりの中、
ぶち壊したくなっちゃうのよね 」
「もういいだろ・・・用事がないんなら帰れ」
「苺さん、せっかく知り合えたんだから、女同士仲良くしようね」
「一吾を返せなんて言わないから・・・くすっ」
「あ・・・はい・・・って?、返せってどういう意味でしょう?」
「ああ、もうそれ以上ややこしくするな・・・とっとと帰れ」
「はいはい・・・帰るから・・・また来るね〜」
「苺さん、またね・・・これからちょくちょくお邪魔するから・・・
仲良くしようね・・・おネエさん」
「一吾、苺さん泣かせるようなことしたら承知しないからね」
ドタバタと香乃は捨て台詞を吐いて帰っていた。
部屋の中に静寂が戻ったところで苺が言った。
「イッちゃん、今の人、誰?・・・まさかの元カノとか・・・?」
「一吾を返せって・・・あれどう言う意味?」
「返せって言ったんじゃんくて、返せなんて言わないからって言ったの」
「そんなのどっちだっていいの、あの子、自分がイッちゃんの彼女だって
言ってるみたいじゃない」
「私の他に女がいたの?・・・あの香乃さんて人がそうなの?」
「そうなのね、私に隠してたの?・・・この浮気者〜」
「あのね、苺・・・またはやとちりしてる・・・ボケかまして・・・やっぱり
君は面白い・・・退屈しないわ」
「よく聞いてね・・・香乃は俺の妹・・・「
「だって〜一吾を返せって行ったじゃん 」
「返せなんて言わないからって言ったの」
「それだって苺は香乃にからかわれただけだよ・・・ 」
「妹だし、家族だからそう言ったんだって」
「ごめんね、そもそも妹がいるなんて言ってなかった僕が悪いんだけど・・・」
「あ〜・・・そうなんだ・・・なんだ妹さん?・・・あ、そうなんだ・・・あはは」
「って、なんでもっと早く妹がいるって言ってくれなかったのよ!!」
「もう、心臓に悪いよ」
「ほんとに苺ってって面白い・・・まじ冗談通じない子だよね」
「面白くない・・・妹さんだったからよかったけど違う女だっから許さない
からね・・・って言うか、もしそんなことになったら慰謝料もらって出て
行くから・・・」
「分かった、分かった・・・そんなにムキにならない・・・」
「おいで・・・驚かせた埋め合わせ、ちゃんとするから」
そう言って一吾は苺の後ろから彼女をハグした。
「まだ、お昼です」
まあ、苺じゃなくても、ああいう状況じゃ勘違いしてもしょうがないけどね。
つづく。
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