第6話:ホテルって?・・・早くないですか?

「それじゃ〜行きましょうか・・・」


一吾は苺を連れてマンションを出た。


苺の歩く姿を見て彼は思った。


今日の苺は一段と輝いて見える。

季節に映える白と紺のツートンのワンピース。

苺は自分自身のため、一吾のためにお洒落してた。


一吾のマンションではソファに座ってる苺の印象が深かったから改めて見た

苺のスレンダーなボディーは誰よりも群を抜いていると思った。


とても素人の女子には見えなかった。

苺がメイドの格好をしてる姿を想像するとたまらない衝動にかられた。


まあ、つい最近まで素人じゃなかったのはたしかだけどね。


この人とこれからデートかって思うと一吾はドキドキした。

もちろん女性と付き合ったことがない訳じゃないし、ガールフレンドだっている。

それなりに女性には慣れてると自分では思っていた。


自分にとって、もしかしたら苺は特別な存在になるんじゃないかと一吾日は

予感した。


「苺ちゃん・・・朝ごはん食べてきた?」


「いいえ、まだです」


「そう、それじゃ〜ね、とりあえず朝食食べに行こう?」

「この先の路地に洒落たカフェがあるから・・・その店に行こう」


「どこでも連れてってくれるところについていきます」


駅前から歩いて、一吾が苺を連れて行ったカフェ。

カフェの名前は「南風」


「このお店よく来るんですか?」


「うん・・・時々ね」


「マンションで会わない時は、今度からこのカフェで待ち合わせしようか?」

「でさ一応、確認しておきたいんだけど苺、今お付き合いしてる男性とか

いないんだよね」


「はい、今はいません・・・ああ・・・」


「ん?・・・なに?」


「少し前まではいましたけど・・・ロクデナシの彼が・・・最低でバカな

彼氏が・・・もう別れましたけど・・・」


「そうなんだ・・・ロクデナシって・・・」


「だって、そうだったんです」

「酒好きでギャンブル好きで浮気者で、お金にルーズなダメ男」

「分かってたけど、放っておけなくて・・・」

「でも、とうとう私の全財産持って他の女と逃げちゃったんです」


「え〜・・・言っちゃ悪いけど、まじでロクデナシ男だね・・・」

「でもさ、彼が逃げて結果的にはよかったじゃないの?」

「いつまでも、そんなダメ男と一緒にいたら、苺が不幸になってたと思うよ、

きっとね」


「そうですね、私男運ないんですよ・・・ダメ男ばかりが寄ってくるから」

「あ、ごめんなさい・・・イッっちゃんがそうだって言ってるんじゃなくて・・・

そういうつもりじゃ」


「いいよ・・・僕だって、ロクデナシかもしれないよ」

「なんせ彼女募集したりする男だからね・・・」


「私はその募集に応募した女です・・・おあいこです」


ふたりは、お互いの顔を見合わせて笑った。

一吾と苺は案外気があったかもしれない。


そしてこのカフェ「南風」が一吾と苺の定番の店になって行く。


一吾と苺は仲良く朝食をとった。


「お昼までにはまだ時間があるから、ここを出て商店街でも少し歩く?」

「それとも苺ちゃんが行ってみたいところとかある?」


「とくには・・・私はどこでも・・・」


「そうじゃ、書店街で時間つぶしたらホテルに行こうか?」

「一度、マンションい帰って、車で行こう」


「ホ、ホテル?・・・初デートで?・・・いきなりホテルですか?」


「どこでもついてくるって言ったよね?苺ちゃん」


苺はまじかと思った。


(ホテルって・・・それって早くないですか?)


(いくら彼女だって言っても・・心の準備だってできてないし・・・)

(たしかに体の相性が悪かったら最悪だとは思うけど・・・)

(性格よりそっちを先に確かめようっての?・・・まじでなの?)


つづく。

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