第5話:高級高層マンションに住む男。

苺が尋ねたマンション・・・見上げるほどの高級高層マンションだった。

バロン・ド・メゾン・50階建・大規模免震タワーマンション。


「すごお〜〜〜」

「こんなど田舎に?」

「なに?彼こんなすごいマンションに住んでるの?」


苺はビビりそうになった。

まあ、デリヘル嬢をやってた時も、こんな豪勢なマンションじゃないけど

お金持ちのところにお邪魔したことはあるにはあった。


苺はマンションの顔認証システムに顔を登録していないためエントランスを

解錠できない。

そこで自動ドアの横の「AMAOU ICHIGO」と書かれたプレートのインターホン

横の呼び出しボタンを押した。


しばらくするとインターホンから一吾の声がした。


「幸乃果さん?」


「はい、苺です」


「解除しますから、待って、ドアが開いたらエレベーターに乗ってください」

「俺の部屋番号ですけど5003号室です」


「はい、分かりました・・・5003、5003・・・」


苺は一吾に教えられた部屋番号を反復した。


一吾に言われるまま、ドアが開くと苺はエレベーターに乗った。

高速エレベーターはあっと言う間に一吾の部屋の階まで上がっていった。


もうすぐ彼になる男の部屋の番号は「5003号室」


「この部屋ね・・・」


苺は、恐る恐るドアホンを鳴らした。

するとドアが開いて一吾が現れた。


一吾は身長180センチ、髪は短髪、Tシャツにジーンズ、ラフな格好が好みだった。


苺は一吾が多少ぶちゃいく男子でも我慢しようと思っていた。

なにより高額報酬のため。


でも初めて会った一吾はけっこうなイケメンさんだった。

一吾はモテるだろうなって舞子は思った。

たしかに一吾はモテた、でもそれは自分の容姿にじゃなく、お金に対してだと

自身は思っていた。

だけど、そう言う女性は相手にしたくなかった、だから心を許せる彼女が

いないんだ。


「いらっしゃい・・・どうぞ入って?」


「はい、お邪魔します」


「改めて、僕の名前・・・」


そう言うと一吾は運転免許を苺に見せた。


「そう言う漢字です・・・どうぞよろしく、幸乃果さん」


「私は幸せの幸にのは・・・ので果物の・・・・」


そこまで言って、苺は新しく就職した会社で作った名刺を出した。


「それにしてもすごいマンションですね」


「あはは、このマンションは僕の親父の持ち物だよ」

「僕はただで住まわせてもらってるだけ・・・僕はすごくないからね」

「僕自身はセレブでもないし偉くもないし・・・」


「だけど、それは特権っていうものでしょ?」

「お金持ちの家に生まれたんですから・・・それは自分では選べませんよ」

「だから、自分を卑下することないと思います」


「なるほどね、たしかにね・・・」

「分かりました・・・じゃ〜、お互いなんて呼びあいましょうか?」


「漢字は違うけど同じ名前だからね」


「じゃ〜私は一吾さんのこと「イっちゃん」って呼んでも?」


「うん・・・じゃ〜僕は君のこと、そのまま「苺ちゃん」って呼ぶから」


一吾は改めて苺をしっかり見た。


(やっぱりめちゃ美人じゃん・・・って言うか超べっぴん、いい女)

(こんな綺麗な人に彼氏がいないってのは納得いかないな)


って一吾は首をかしげた。


いたにはいたんだよ、彼氏が・・・。

現在、苺には彼氏はいない・・・ロクデナシ元彼と別れたばかりだから。

もし彼氏がいたら一吾の「彼女募集」に苺はノらなかっただろう。


つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る