第24話 テマンオチで色々とわからせた!
「あれ? お前引きこもってたんじゃねーの?♡ またのこのこ煽られに来たのかよ♡ どんだけマゾなんだ♡」
だだっ広い謁見の間で、きらびやかな玉座にふんぞり返る女王エロザマス2世がのっけからそんな風に煽ってきた。
玉座までかなり距離があるものの、見た感じからするとJKくらいのようだ。遠目でもケバケバしい濃いめのギャルメイクなのがよくわかる。
「あのさ~、あたしは若い男が好きなわけ♡ だから、お前みたいな氷河期のおっさんなんかお呼びじゃねーんだわ♡ 一生部屋にこもって死ぬまでシコってろ♡」
「うっ、うう……、ううううう」
「うっわ、目から何かキモい汁が出てるんだけど♡ お前、もしかして泣いてんの?♡」
エロザマス2世に煽られたクサイモンのメンタルが早くも折れそうになっている。おいおい、こんな煽りなんかそよ風みたいなもんだろう。
しょうがない、ここは俺がメスガキのわからせ方ってのを見せてやるか。そう思った矢先――。
「待ってくださいコドージ殿。何やらあの女王にそこはかとない違和感を覚えるのですが……」
シコルが俺にそっと耳打ちしてきた。メスガキの年齢にうるさいこいつがこう言ってくるということはきっと何か裏があるに違いない。それなら、ここはしばらく様子を見てみるとするか。
「つーかさ、お前ら誰?♡ クサイモンのお仲間??♡ 見るからに氷河期のおっさんにババアじゃん♡」
クサイモンを煽り倒したエロザマス2世が今度は俺らを標的にしてきた。
「ねぇ、コドージ。あのメスガキ、あんたがわからせないならあたしがコレでわからせちゃっていいかしら?」
ババアという言葉に敏感に反応したトヨーコが、拳を握りしめながら俺に了承を求めてきた。だが俺は逸るトヨーコを必死に押さえる。
「え? 何なに、やるの??♡ 何にもできやしないざこのくせに♡ ババアはすっこんでろ♡ つーか、あたしに歯向かおうとした罪でお前ら全員地下牢にでも入っとけ♡」
こうして俺たちは、衛兵らに取り押さえられて地下牢へと連行された。
※ ※ ※
地下牢へぶちこまれると、そこには何と一人の女の子がすでに入れられていた。薄汚れてはいるものの、高貴なドレスを身に纏ったその女の子はJS5~6くらいに見える。
「うっわ、氷河期のおじさんらと同じ牢ってあり得ないんだけど♡ お前ら、児ポ画像の単純所持でパクられたとか?♡ 絶対そーだろ♡ ウケる~♡」
ゆるふわな栗色の髪と青い目、そしてそばかすが特徴のその女の子は、侮蔑な笑みを浮かべながらいきなり煽ってきた。
「コドージ殿! 私にはわかります、この子はホンモノですよ!」
俺の方を向いて鼻息を荒くしたシコルが興奮気味に叫んだ。わかった、わかったから少し落ち着けって。それに唾が飛ぶからちょっと離れてくれ。
「つか、お前ら頭がたけーぞ♡ あたしを誰だと思ってんの?♡ 恐れ多くもテマンオチの女王エロザマス2世だし♡」
え、この子が女王様なの? それじゃあ、さっき謁見の間で会ったあの女王は一体何者なんだ??
エロザマス2世を名乗るメスガキ臭漂う女の子の話によると、一年ほど前に突然一人のババアが現れ自分を地下牢へと閉じ込めてしまったそうだ。そしてそのババアはメスガキ草を使って女王になりすまして、氷河期おじさんを理不尽に煽り散らかしては社会的死に至らしめているのだという。
そういうことだったのか。さっき謁見した女王にシコルが違和感を覚えたのは間違いではなかったというわけだ。やるな、シコル。
それにしても、ババアの分際で氷河期おじさんを煽り散らかすとは何ともけしからん奴め。ここはきっちりとわからせて、いや、とっちめてやらなければだ。
だがその前に、まずは目の前にいるこの小生意気なメスガキ女王をわからせておくとしよう。
俺は《わからせ棒》を使った。
「は? ちょ、何すんの?? 氷河期おじさんの分際で頭がたけーっつってんだろ! ひ、控えろっての、クソざこ! やだ、止めて、そんなの絶対ムリ! いあああ……あ゛あ゛あ゛」
俺は《わからせ棒》を使った。
「あ゛ッ、お゛ッ、あ゛んっ……、あッ♡ はっ♡ あんっ♡ な、何これ……、あんッ♡ はっ♡ て、手なんかより全っ然いい!♡ んっ♡ ふッ♡ あひっ♡ はっ♡ ふぉ♡ あああ♡」
俺は《わからせ棒》を使った。
「おふっ♡ ん゛おッ♡ はっ♡ はひッ♡ お゛んっ♡ お、落ちちゃう♡ あ゛っ♡ あひっ♡ こんなの落ちちゃう♡ あ゛ッ♡ ひっ♡ お゛ッ♡ ふおっ♡ もっと♡ あッ♡ おっ♡ も、もうダメ……♡ ひっ♡ あ゛っ♡ 落ちちゃううううう♡」
こうして俺は、手ではなく《わからせ棒》を使ってメスガキ女王を落とした。
※ ※ ※
メスガキ女王をわからせて地下牢を抜け出した俺たちは、真夜中になるのを待って偽女王がいる寝室へ忍び込んだ。
そしてベッドで眠る偽女王に、シコルが持っていた不都合な真実を映し出すという《不都合な鏡》をかざしてみる。すると、そこには何とトドのような図体をしたおぞましい姿の氷河期ババアが横たわっているではないか。
「お前ら……。あたしの本当の姿を見たわね? 生きてここから出さないわよ!」
「はんっ、なんて醜い姿なの。同じ氷河期世代としてこっちが恥ずかしくなるわ!」
すわ偽女王と戦闘かと身構えたのだが、トヨーコが俺たちの前に出ると謎マウントを取り始めた。
「あたしはね、メスガキも憎いけど、美しくなる努力を放棄して醜い豚みたいに成り果てたババアも同じくらいに憎いの! そんなババアがよくもまぁ若い男が好きだなんて言えたものだわ!」
「ううっ……、だ、だってそれはその……、おっさんより若い方ががいいし……」
見事に図星をつかれた偽女王のババアは激しく狼狽える。
「あんたみたいに性根の腐ったババアはコレできっちりとわからせてやるわ!」
そう言うと、トヨーコが握った拳で偽女王のババアをボッコボコにし始めた。本来、これが正しい拳の使い方なのであって、これまでのメスガキへの使い方がある意味で特殊だったと言える。
こうして、トヨーコにフルボッコにされた偽女王のババアは這々の体で城から逃げ出していった。
「お前ら、氷河期のくせになかなかやるじゃん♡ 助かったよ♡ 特にそこのババアがマジで強くてウケる♡」
女王に復帰したエロザマス2世が早速調子こいてそんな風に煽ってきた。あ、これはマズいかも……。
「あら、そこのメスガキもコレできっちりとわからせてやる必要があるわね」
「え? ちょ、待って、それは絶対にムリ! ねぇ、お願いだからそれはやめて、ひゃあああ! ……※@□#▲∑∀√!?」
トヨーコが拳を使ってエロザマス2世を徹底的にわからせた。それにより、この女王もまたそっちの方に目覚めてしまったようだ。
「勇者コドージ。あんたのおかげで氷河期おじさんとしての尊厳を取り戻し、引きこもりから抜け出すことができた。ありがとう」
そしてクサイモンから感謝された俺は、お礼にと《アイドルの握手券》をもらった。引きこもりから抜け出したクサイモンは、これから色々と忙しくなるので推している地下アイドルの握手会へは行けないため、代わりに行ってきて欲しいのだそうだ。
そんなこんなで、握手会参加という新たな目的もできた俺たちはテマンオチ王国を後にしたのだった。
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