第3話 能力者の相性
能力者には相性と呼ばれるものがある。単なる人間であればどの能力も脅威だが能力者同士が相手だった場合、相性が生じる。
たとえば炎を操る能力者は水を操る能力者に分が悪い。
様々な拷問器具を生成するムースの能力は液体の身体を持つ流動人間に効果はなく、能力の無駄遣いに終わる可能性が非常に高い。能力は使用するほど体力を消耗する性質上、無駄な攻撃を続けることは戦闘では死を意味する。それをスターの話で察した美琴は、今回の戦闘はムースを参戦させないことにしたのだ。
しかし美琴の一存で決めるわけにもいかないので、スターに許可を求めると彼は朗らかに笑って認めた。
「しかし、最近は『百合』が流行しているからふたりの絡みが見られないのはちょっと残念ではあるね」
「スター様、お気持ちはお察しいたしますぞ。美琴よ、スター様の心情を悪くされた罪は命をもって償うがよい」
スターの忠臣ジャドウはすぐさま剣を鞘から引き抜くが、スターは手で制し。
「話を戻すけど、ロディ君は負傷、李ちゃんは中国の防衛で忙しく、ヨハネス君もカイザー君と一緒にヨーロッパの平和を守っている。
ラグ君は正直、力不足だろう……川村君と星野君は連絡がつかない。
そうなると、君たちに頼るしかなさそうだね」
「待て」
「何か意見があるのなら言ってくれたまえ、不動君」
不動は眉間の皺を深くし顔の血管を浮かび上がらせた憤怒の形相で問うた。
「なぜスターは前線に出ない?」
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