男の手料理!手捏ねハンバーグが黒歴史

逢坂 純(おうさかあつし)

大学生男子が作った手捏ねハンバーグが黒歴史。

大学の頃、大きな緑地公園で仲間で集まって毎年、お花見会をしていました。その花見では、皆で料理を持ち合わせての花見でした。

当時、一人暮らしをしていた僕は、腕に自信ありで手作り料理を振舞おうとしていました。

何がいいかな?と考えあぐねた挙句、僕は当時、凝っていたロールキャベツを作ろうと思いました。ひき肉を俵状にしてそれにキャベツの葉をはぎ取り、俵状になったひき肉を包み、楊枝でキャベツが剝がれないように固定し、グツグツと鍋で煮ながら、お花見会に参加する友人の顔を思い浮かべて一生懸命作りました。

そのかいがあって、僕の作ったロールキャベツは、とても評判が良く、皆が喜んで食べてくれて、僕は作っていって良かった~と、ニコニコ顔で飲むお酒も美味しかったのを覚えています。

そして次の年のお花見の会がやってきました。

僕は昨年好評だったロールキャベツに味を占めて、今年も手作りで何を作ろうかと考えあぐねていました。その一年の間には、先輩にファミレスに連れて行ってご飯を御馳走になって、先輩からは色々な料理を食べさせてもらいました。その中にハンバーグがありました。ハンバーグだったら、自分でも作れるんじゃないか、僕はそう思い、その年のお花見の会には、手作り手捏ねチーズハンバーグを作ることに決めました。

ぺったん、ぺったん、僕はひき肉を楕円形に丸めます。ぺったん、ぺったんと。

その日は、朝5時起きでした。皆の喜ぶ顔が見たい一心で、朝も早くから台所に立って、ハンバーグを作りました。

そして、いよいよハンバーグお披露目の時です。

女性陣は、「うわー、美味しそう!」と僕の手捏ねハンバーグを褒めてくれました。

「チーズも入ってるんだよ」と僕は有頂天でした。その時、後輩の男子が言いました。

「これ、止めた方がいいんじゃないですか?」

と。僕はどうして折角作った自信作をけなされなければいけないんだと思いました。

彼は言いました。

「一生懸命作ったのは、分かりますけど、衛生上の問題が……」と彼は言葉の語尾を濁し言いました。

確かに、何を触ったか分からないような、大学生の一人暮らしの男子が作った手捏ねハンバーグは、同じ男子だったら、気持ち悪くて食べたくないんでしょう。

結局、その手捏ねハンバーグは、誰にも食されることなく、家に持ち帰りました。

家で一人で食べた自分の作った手捏ねハンバーグの味は、美味しかったのですが、ちょっと寂しかったです。次の年から僕は、手作りの料理をお花見会には持ち寄らなくなりました。哀しス。

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男の手料理!手捏ねハンバーグが黒歴史 逢坂 純(おうさかあつし) @ousaka0808

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