第3話

 「妹よ、悪いけど今の俺は約束することが出来ない。」


「何で」


「俺にとって心の底に刻まれたトラウマになってしまったていからだ」


 「・・・ごめんね。私、妹なのに」


「あぁ、俺にとって妹は世界一大事だった。」


「・・・」


「どんなことがあっても守ろうと思ってた。一番本気で可愛いと思ってたし、妹が・・・妹で良かったと思ってたよ」

 これも嘘偽りない事実だ。だが・・・今は


「お兄ちゃん」


「けど、やっぱり俺は兄である以前に人間だったようだ。あんなことを言われ続けたあとでは、俺も兄としてはやっていけない。」


「・・・(グッス)」


「あの時、兄を辞めたんだ。俺の中で」


「私が辞めろって言ったから?」


「それもあるけど、あの時の俺じゃ兄は出来ないと思ったんだ」

本当は全て妹の言葉だけど


 あと別にそもそも、辞めるとか血の関係状・・・無理だから、こんなこと思ってすら無かったけど、


 「・・・」


「その時の覚悟は、俺の中で大切な覚悟だったんだ。」


【何で、あんなのが妹なんだよ!!今までずっとお互いに大切に思ってたのに、そんなに友達の方が信頼出来るのか、俺達の今までは何だったんだ。俺の方から兄なんて辞めてやる】


と内心でよく言っていた。


「お兄ちゃん」


「だから、俺はそもそも兄じゃない。」


「・・・」


「だけど、やっぱり可愛い妹を見たら、あの時の覚悟を揺らぐくらい、兄をもう一度したくなったな」


「お兄ちゃん!!」


「まだ、不甲斐ない、俺だけど、もう一度兄をやって良いか?」


「うん、いいよ。私がやって欲しい。私にとってお兄ちゃんはお兄ちゃんしか居ない。」


「ありがとう、妹」



 妹は話が変わったことに気付いてない。

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