第4話

外に出ると、幼馴染が待ち構えていた。


 「あっ、優!!」


「・・・夏」


「・・・うっ、苗字呼び、仕方ないか」


「どうしたの??もう一緒に学校には行かないんじゃないの?」


「私、貴方が痴漢が冤罪だって知って、それで、それで」


「それで?」


「もう一度貴方と幼馴染やりたいなって」


「幼馴染だよ。」


「そうだよね。良かった」


「だって、家は隣だし、小学校は同じだし」


「そう言う形だけのことじゃなくて、前みたいに心も」


 「心か・・・でも俺たちはもう前のようには戻れない」


俺は幼馴染が俺が好きだったことを知っている。

 俺もそんな風になるように努力して来たからだ。


「私が拒否したけど、戻させて。今度は何でもするから」


何でもする。良い響きやな


 「何でもって言われても、前の俺たちはお互いのためならなんでもしてただろ」


 「確かに、そうだけど、今度は前よりどんな頼みでも聞くから。そう言う命令も聞くから」


 そう言う命令。良い響きやな


「でもさ、俺は前のように行かない。過去が余りにも苦しめる。もう恋愛感情だって壊れてる」


「・・・っ、私、貴方の一番じゃなくていい、愛人でも良いから、キープでも良いから貴方と、幼馴染として貴方を好きで居させて」


狙い通り


 「そこまで言うなら、良いよ。」


「ありがとう、本当にありがとう」

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