最終章 魔王の娘との戦い! さらば、推しよ!?

第27話 最終装備

 翌日、エデルから褒美をもらった。


 魔法少女のような装備を、ミラベルは身につけている。

 ピンクの生地とブルーのラインを基調とし、勇者の装備をより魔法少女風にアレンジされていた。

【イリュージョン】の効果もあるだろうが、オレは気に入っている。

 ちなみに、イリュージョンがなかったらフルプレートのドレスアーマーだ。これもまたカッコいい。ドレスアーマーは、たしかに乙女の最終装備と言えよう。

 しかし、ミラベルを主役にした世界観だったら、あまりゴツゴツしたプロテクターより、やはり魔法少女ルックの方が安心する。

 これは、好みの問題かな。


 さらに、武器も用意してあるという。


「これは、【光の剣】だ。持っていくといい」

 

 エデルが渡した剣には、刀身がなかった。

 しかし、ちゃんとした剣らしい。


「ミラベル殿、剣に魔力を込めてみよ」


 銀狼に促され、ミラベルが柄に魔力を込めた。


「うわ!」


 いわゆるキャンディケインのように、二重らせんのステッキが発動した。

 海の都ナコンベルルで買ったものとは、作りからして違う。

 白と赤のラインが、常に回転し続けている。

 柄にはめ込まれた魔法石から、常に光が放たれているようだ。


 軽く振っただけで、剣戟のエフェクトが。離れていても、相手にダメージが通る仕組みか。

 これは、思っているより攻撃力がありそうな作りである。


「この白いラインが物理攻撃、赤いラインは魔力攻撃として使えるぞ。この刀身が回転し続けることにより、魔力を常に循環させているのだ」


「ミラベル殿にしか扱えん。エデル姫が開発した、最強クラスの武器だ」


 たしかに、最終装備って言われても、遜色がない強さだ。


 さらに【アイテム合成】まで行い、より強度を上げた。

 人魚の角笛によるバフも、常に発動する。

 柄に口を当てると、笛が鳴る仕組みだ。


「ベップ殿、あなたにはこれを」


 オレに与えられたのは、賢者の防具一式だ。

 賢者か。なってみたかったんだよな。

 しかも、スチームパンク風ってのがいい。

 ソードオフショットガンを持つ、賢者とは。 

 盾も、ガスマスクみたいな構造になった。見た目だけではなく、ちゃんとあらゆる毒を防御する効果もあるという。

 スチームパンクっていうと、ホコリっぽい茶色ってイメージだったが、黄色と鉄の灰色をうまくミックスしてある。無骨さと知性が組み合わさって、飽きないオトナの色合いだ。


「ありがとう、エデル」


「エデルちゃん。この装備、すっごいかわいいよ」


 オレたちが礼をいうと、エデルは首を横に振った。


「国家を救ってくれた英雄には、まだまだ礼を渡し足りないよ。では、気をつけてくれ」


 いよいよオレたちは、魔王の城に向かっていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る